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本当に大事なものは他人に自慢しない。

作者: ムクダム

見せびらかすのは2、3番手くらいに大事なもの。

 見せびらかす、自慢するというのは、つまりそれがどれだか良いものか他人に認めてもらいたいという心理の産物だと思う。他人に認めてもらわないと、それが本当に良いものか自信が持てないということかもしれない。面と向かって話をしたこともない他人の生活の情報が押し寄せる現代社会。それらの情報に呑まれてストレスを感じる人も多いと思う。かくいう私もその一人。

 子供の頃から、他人のことを羨ましがることが多い、もっと露骨に言えば嫉妬深い性格をしていたと思う。隣の芝は青く見えるというが、そういった勘違いで精神的苦痛を被るのだから困ったものである。そこで私が考えた解決方法は、自慢するようなことはその人にとって本当に大切なことではないと判断することだ。

 自分自身について言えば、本当に好きなことって他人に話さないことが多いと気がついたのである。むしろ誰かにその話をすると、その価値が薄れてしまうのではないかという危機感を覚えるタイプ。音楽にしろ、映画にしろ、自分一人で満足しているから、そのことを他人に伝える必要を感じない。自分の中で揺るぎないものとして確立したことについては、他人の評価なんて関係ないのだ。自分の好きな作品を他人に貶されると嫌な気分になることがあるが、それによって自分の中の評価が変わることなんかない。変わるとしたその程度のものだったということだろう。逆に他人がその作品を絶賛しても、あまり嬉しいとは感じない。

 こういう視点に立つと、世に溢れる人生自慢には、実はその人にとって本当に大事なものは含まれていないと考えることが出来る。いくらか格落ちしたものを自慢の材料にしているのだ。そうすると、そんなことにいちいち嫉妬するなんて馬鹿馬鹿しい、という風に心の整理をすることが出来るようになる。まあ、ちょっと強がりが入っているんだけれども。

 ただ、強がりは抜きにしても、本当に立派な人、本当に美しいものは決して自分から主張しないというのは何とくなく実感出来るようになってきたと思う。わざわざ自分は金持ちだと宣伝するような人は、実は家計は火の車状態で、そういった宣伝によって金を儲けようとしている層だろう。金持ちではなく、金が欲しい人である。人の印象に残るような極端な意見、突飛な言葉、強いフレーズ(実は脆弱そのものなのだけれど)を繰り返す使う人も、実はそういった態度を取らないと生きていない状況に追い込まれている可能性がある。ちょっと気の毒な境遇なのだ。幸せをアピールする人は、本来内側から滲み出るはずの幸せを、他人の評価という外的要因で実感しようとする点で不幸であると言える。他人の評価ほど不確かなものはないのだから。

 他人との比較で自分がひどく惨めに思える時が誰しもあるだろうけど、そんな時、一歩引いた目線でそういった他人の状況を観察してみると良いのではないだろうか。 終わり

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