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神絵師、配信後日譚を語り合います。

コラボ後、全員で二回目の乾杯をすることになった。


「しかし……最初はどうなるかと思ったけど」

「どうにかなったのです」

「ぷぇ~」


 安心しているのはさくらとましろ。ましろに至っては気が抜けてぐで〇まのように溶けている。


「はぁ~楽しかった!」


 そしてなぜか艶々した航がエナジードリンクを上機嫌に飲んでいる。ただの雑談枠でそこまで満足そうにされてもなぁ。


「そこまで幸せそうにされたらなんも言えねぇよ」

「いやぁ、ただ喋るだけでこんなに楽しいならおれもチャンネル持ってもいいかもねぇ」

「さすが村崎先生なのです」

「そんな余裕あるんか?」

「もちろんないよ~」


 ねぇんかい。この流れはある流れだろ。


「でもたまにこうやってみんなと喋るのも楽しいかもね」


 それは同意するよ。


「というかこーちゃん自分のチャンネル持ってるじゃん」

「そういえば持ってたな。完全に忘れてたわ」

「じゃあ今度はこーちゃんのチャンネルで遊ぼう!」


 お前は遊び足らず大暴れするだろうが。


「親子コラボ、いいかげんしてほしいなぁ」

「今日コラボしたろうに」

「タイマンこらぼだよぉ……」

「どないやねん」

「早く責任とってぇ……」


 お前は先に俺に積み重なっている負債をどうにかしろよ……。


「さくらも急な配信で悪かったな」

「いえ大丈夫なのです! ボクも楽しかったのです」

「そういってもらえるとありがたいよ」

「ボクも雑談枠は初挑戦だったのです。ましろさんには感謝なのです」

「ん……こっちこそ会えてよかった」


 ましろ……成長したな……お母さん嬉しいよ。


「敵にあえてよかた」

「あなたとてもしつれーですよ」

「て、敵なのです!?」


 お母さんあんた生んで恥ずかしいよ……。


「でもまたみんなで配信するのはアリなのです」

「そうだねぇ、康太も引っ越ししたことだし」

「引っ越し関係ある?」

「まぁましろんが遠くまで歩いてこなきゃの話だけどね」

「ど”ぉ”し”て”ひ”っ”ご”じ”じ”ち”ゃ”っ”た”の”ぉ”ぉ”ぉ”」

「迫真の演技で草」

「なんで見破れるのぉ……」

「まるで親子なのです」

「さすが幼馴染。お似合いカップル」

「おめーもだろうが」


 迫真だろうと藤原〇也だろうと、こいつが泣くときは全部演技だもの。何年幼馴染してると思ってんだ。


「そういえば今ゲームの進捗ってどうなの? あ、もちろん話せる範囲でいいよん」

「まぁ前言った通りで俺のほうは原画入っているよ」

「シナリオも大詰めなのです」

「それって進捗どんな感じなの?」

「まだ序盤も序盤だな。まぁイラスト関連はどうにもできるからななみさん次第かなぁ」

「そこはまだ決めかねてるのです……」

「キャストや音響とかは」

「決まってないのです」

「まぁだめならましろにでも依頼するか」

「だめだよぉコンプラ違反だよぉ」


 さすがに冗談だよ。あと使いどころが微妙に違う気がする。


「音響スタジオがそもそもギリギリだからねぇ」

「なにがギリギリなん?」

「予算とスケジュール。むしろ予算のほうはギリギリ抑えられてるんだけど……」

「スケジュールがギリギリなん?」

「シナリオが遅れたのもあってね……特急料金ギリギリ入らないところなんだよね」

「ふーん?」


 まぁ仕方ないよね。遅れたんだもの。遅延は後ろの工程の命をすり減らせる行為だから、なるべく自分の工程では遅れを取り戻せるようにスピード命で着手している、つもりだ。


「それ以外は?」

「俺と優生さんのマンパワー」

「あ、そりゃ終わったわ」


 だって俺だよ? 優生さんだってコネクション使えるで? つまり最高峰の力やで。


「だから俺以外のところがネックかな」

「さすがこーちゃん」

「かぎやさんだからできることなのです。毎日が勉強なのです」


 それほどでもねぇぜ。


「キャストは誰になるの?」

「それは企業秘密なのです」

「まぁななみさんチョイスだし大丈夫でしょ」


 ……本当に大丈夫かなぁ……。この後めちゃくちゃ収録した、みたいなことになりそう。


「で、マスターアップいつだっけ?」

「7月下旬だな」

「販売開始がいつだっけ?」

「8月の最終金曜日なのです」

「今がいつだったかな?」

「5月中旬だねぇ」

「間に合うの?」

「間に合わせるよ」

「根性論?」

「精神論」


 威張って言えることじゃないけどね。最終兵器『ド根性』が発生しないことを祈るばかりだ。


「それにサマコミ受けたでしょ? おれたちのサークル」

「そりゃぁな」

「間に合う?」

「家帰った時から着々と進めてるで」

「オリキャラは?」

「構想段階だけど数キャラ分はある程度生んでるで」

「前言ってたグッズ展開は?」

「販路も生産も見通したってるよ」

「うーん、タスク量が若者の人間離れ」

「何を言うか。ブラックパース時代はもっとひどいぞ」


 大学の授業中に鳴る呼び出し電話だぞ。講義中だって知ってても連絡するとかなんでやねんそっちは配慮してくれるのが一般企業じゃないのか!? ブラックだもんそんなの知ったこっちゃないってことだろうね。やっぱり黒ですわあの会社。


「なんかとんでもないことを聞いている気がするのです……」

「いいんじゃなぁい?」


 ちぇりぶろだってサマコミ申し込んだからね。俺らも負けてられないぜ。サマコミの当落発表は6月頃だから楽しみ。不思議と落ちる気がしないのはなぜだろうね。


「大丈夫大丈夫、似たようなことななみさんたちに伝えてるから」

「まさかのボクだけハブ!?」


 だってあなた作業中イヤホンするでしょ。


「まぁ次も参加できるかは丸山さんに相談してからかなぁ」

「参加してくれるとありがてぇんだけどな」

「もち。頑張ってみるよ」


 またコミディアのようにみんなで楽しくサークル出したい。そのためにもまずはサマコミに受からないといけない。


「ましろも急だったのにありがとうな」

「んーん。康太の頼みならいつでもいいよぉ」

「そうか。それじゃあもっと外出の機会を」

「それとこれとは話が別だよぉ……」


 出不精がよォ……。


「ボクからもありがとうなのですまーちゃん」

「ふふ、礼はもう十分だよ敵」

「だから敵じゃないって」

「康太はわかってない」

「うーん、これにはボクもまーちゃんと同じ意見なのです」

「ましろんに一票」


 なんでだ?


「でも敵とはいえコラボもしたから……これからは友達同士だねぇ」

「そうなのです! よろしくなのです!」


 ……ユウジョウ!


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