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神絵師、もっかい言いました。

 挨拶先の部屋で車座を囲んでいる3人。びっくりするかもしれないけど、びっくりしてる。頭痛が痛い状態でしかない。


「えっと…改めて隣に引っ越ししてきた鍵谷です」

「あぅ、と、となりに住んでます…来宮さくらなのです…」

「はろはろーきのちゃん。おれは紫咲航で、こーちゃんちの隣に引っ越ししてきたよー。あ、これ名刺ね」

「ひぅ!? こ、コウ先生!? コウ先生じゃないですか!?」

「そうだよん。こーちゃんともどもよろしくねー」


 航の正体を知ってしまい金魚みたいなぱくぱく口が閉じなくなった来宮さん。


「あははははっ! きのちゃん面白いねぇ」

「だからお前まで来なくていいって言ったのに」

「だってこーちゃん一人じゃ寂しいでしょ?」

「ハッ」

「そんな鼻で笑わなくてもいいじゃんか~」


 それよりも来宮さんがショートしてるだろうが。


「えっと…大丈夫? 来宮さん」

「だ、大丈夫じゃないのです。ものすごく混乱してるのです…これは夢なのです?」

「ところがどっこい。現実なんだよね、これ」

「……」

「とりあえずエナドリ飲んで落ち着こう来宮さん」

「それで落ち着くのこーちゃんだけだと思うよ」


 それはダウトだろ。ほかにも誰かしらいるでしょ。


「だ、大丈夫なのです…。ボクもエナドリはたくさん置いてるのです」

「ほらな?」

「そこでドヤ顔できるあたりこーちゃんだと思うよ」


 さすが来宮さん、わかってるねぇ。


「で、ちょっとは落ち着いたかい?」

「大丈夫なのです。お騒がせいたしました」

「まぁ仕方ないと思うよ。改めてよろしくね」

「もちろんなのです! すっ、末永くお願いするのです!」


 言葉を間違えてる気がするけどスルーするべきかな、これ。あと航、その顔やめろ、わかってんだよ。


「こーちゃん、捕まらないでね?」

「ぶっ飛ばすぞお前」

「へ?」

「なんでもないよ来宮さん」


 ついてこれないのは仕方ないと思う。唐突に爆弾を投げ込んだこいつが全部悪い。


「そ、そうなのです? あ、かぎやさん。その…これからはお隣さんなのですから、敬語は止めてほしいのです」

「そう? まぁ俺としても助かるけど…良いのかな…?」

「止めたほうがいいよ? おれはともかくほかの業界人からしたら違和感しかないし」

「そうなのです。それにボクは年下なのですから、礼儀正しいかぎやさんも良いと思うですが、ちょっと壁を感じるのです」


 うーん。それなら敬語は止めるか。


「あとななみさんも同じこと思ってるはずなのです。だからかぎやさんも、もっとふれんどりーにしてほしいのです」


 フレンドリーって、割と友好的だったはずだったんだけど。足りないんか?


「フレンドリーってどうすりゃええんや…とりあえずさくらって呼び捨てにすればいいの?」

「ぴゃぁっ!?」

「変な声がでたなぁ。つかそらおめぇあれよ。おともだちすればいいってことよ」

「友達を動詞にしてんじゃねぇよ。ワード渋滞起こしてんだよ」

「もっと馴れ馴れしくすればいいんじゃない?」

「航じゃねぇんだからあのメンツには無理があんだろ…」


 お前自分のコミュ力舐めるなよ? 


「しょっ、そっ、それなら…ボクからひとつ提案があるのです」

「「??」」


 真剣に考えてくれてたらしい。なんだこのロリ絵師、真面目かわよか?


「えっと…みんなでコラボ配信をするのです」


 何それ面白そうじゃん。ただなぁ…非公式ならましろが出ない配信に出るのは避けたい。でも面白そうだから配信はしてみたい。


「配信ならあいつも呼ぶか」


 それならいっそのこと全員でやるか! 共通の友達が初対面同士っていうね。めっちゃ気まずいやつ。


「いいんじゃない? どうせこーちゃんから呼ぶなら嫌って言わないはずだしねぇ」

「え、っと? 誰なのです?」

「かやパッパのぐーたら娘」

「え゛っ!?」

「知り合いのVtuberだな」

「ま、ましまろさんなのですか!?」

「大正解。俺らよりもうまいで」

「えぇぇぇー、緊張するのですよ」


 あいつに緊張する人いるんだ。貴重な人材だ、確保しなければ!


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ましろんなら遠慮なんていらないよ」

「むしろフォローしてくれるとありがたいくらいだな」

「エ゛っ!? ぼ、ボクのほうが助けてほしいのです…」

「もしかしてこの配信、ぽんこつ二人なの?」


 もしかしなくてもそうだよ。


「ならついでに企業案件でもぶん投げれば面白そうだ、いつか仲介するから」

「む、無茶ぶりなのです、それはボク案件じゃなくてななみさん案件なのです!」

「あとでななみさんに伝えとこ」


 よし、ましろも脱ニートだな。仕事漬けにすればこれでやっと自分から外に出るだろ。おばさんこれで良いんですよね? いいよーありがとー。どういたしまして。エアおばさんと会話したからましろの了承は取ったことにしよう。

 だから俺は誰と会話してんだよ。今回はエアおばさんだよ。


「あっ…あっあっ、や、やっちゃったのです…」

「どんまいきのちゃん」

「うぅ…コウ先生にそれ言われるの、本当になれないのです…」

「頑張って慣れてね~」


 他人事だなコイツ。


「そういえばお前配信して大丈夫なのか?」

「そうだったね。忘れてた丸山さんに聞いてみるよー」

「もしかしなくてもぽんこつ3人なのか?」

「初対面コラボを混沌召喚したこーちゃんは戦犯ぽんこつだから全員だよ? あ、もしもし丸山さーん?」


 電話が繋がった航が席を外した。さてふたりっきりだけども…。


「なぁさくら、配信って何をするんだ?」

「ひぅっ、すぅ、はぁっ、はっ、配信はそのままなのです、何をするかはわからないのですが、今から決めちゃうのです」

「なら適当にお絵描きでもする?」

「それじゃかやさんの独壇場なのです」

「そんなことないと思うけどなぁ」


 神絵師にチャンプ看板作家に人気絵師に人気Vtuberだし、へーきへーき。


「えっと…絵がダメなら、雑談?」

「自慢じゃないですけど、ボクは作業配信でも基本しゃべらないのです」

「ほんとに自慢じゃねぇな」

「照れちゃうのです(n*´ω`*n)」

「そら褒めてねぇからな」


 わかっててボケるの、やめよう! ただのボケつぶしやぞさくらァ!


「ゲームはさすがになぁ…」

「ダメなのです?」

「だめじゃねぇんだけど…それは別の機会がいいだろ」


 運ゲーは間違いなくアイツの独壇場。航は格ゲーが結構強いけどバラエティなゲームはましろと孝宏が強い。クイズは孝宏以外誰もが間違える。俺? なにも勝てないけど、なにか文句でも?


「…困ったのです」

「あとさっきお絵描きって言ったけど、たぶん航はイラスト関連完全NGなはず」

「えっと…航さん、コウ先生がチャンプ作家だからです?」

「そう。契約上の問題かな、同人活動は航だから特別にOKもらっただけで、本来はグレーゾーン寄りのアウトなはずだ」

「ほへぇ~」


 しっかりとは聞いてなかったけど、チャンプと固定を結んだらほかのイラストはNGみたいなことを言っていた気がする。


「丸山さん、条件付きでおっけーだってー」

「聞かせてもらおう」

「イラスト関係の配信はNG」


 ほらね。


「いろいろ契約周りが面倒になるから、ゲリラでイラストやるならチャンプ公式チャンネルにしてって言われちゃったね」

「それならしゃーないわな、ほかの内容考えるか」


 予想してたっちゃしてたけど、それ以外ってなると…。


「やっぱり雑談しかないんじゃない?」

「うぅ…それしかないのです…」

「え、きのちゃん喋るのだめ系?」

「あんまり得意じゃないのです」

「それならテーマとか決めて雑談すればいいんじゃないの?」

「無難だけどそれにするか」

「て、テーマがあるなら少しは喋れるかもしれないのです…頑張るのです」


 航はともかく、さくらが前向きに検討してくれてるのは少し驚きだけど、ありがたい。


「それじゃアイツ呼ぶわ」

「よろしくー」

「よ、よろしくお願いしますのです」


 席を外してましろに電話を掛けると、1コールででた。はえーよホセ。


「どしたの~?」

「ましろ、配信するぞ」

「いいよ~……え?」


 適当に返事しやがった。こいつもしかして寝てたな? もう昼過ぎだぞ? おせーよホセ。


「聞いてなかったか? 配信するぞ」

「え~? いや、え~? それはいいんだけど~…いまから?」

「もちろん今から。航ともう一人の4人でな」

「う、うーん。わたしコラボしたことないよ?」

「それは大丈夫だろ、こっちは配信したことないのが二人と初コラボの3人だからな」

「なにも大丈夫じゃぁないねぇ、ゲームでもする~? あ、イラストを描くのは?」

「権利諸々面倒だからテーマ拾って雑談だな」


 その話はしたばっかりだから速攻で取り下げた。一応ましろも契約周りは気を付けている…はずだからわかってくれたはず。


「もうしゃべることなさそ~。雑談するにしてもさぁ、むしろ康太とわっちしかしゃべらなさそうだねぇ」


 その未来は見える…。


「なんかさ~、もう質問形式みたいにすればいいんじゃないの~?」

「そりゃいいな! あ、でもそれだと4人じゃ組み合わせ悪そうだな…」

「誰か一人よぶ? おーたにとかめーとか」

「このメンツで一般人とかダメだろ…」

「結局もうひとりって誰なの?」

「たぶん聞いたことあるかもしれんけど、絵師の知り合いよ」

「うーん。誰~? いちおー先に挨拶しといたほうがいいかなって~」


 なんかましろがちゃんとVtuberしてる…ちょっと嬉しい。


「それもそうだな。あとで個チャ繋ぐとして、ちぇりぶろの絵師さん、きの。先生だよ」

「…ふーん?」


 急に静かになったましろだが、何を考えてるんだろうか。


「康太今どこ?」

「ぉぅ…」


 急に声低くなるやんコイツ、ビビったわ。


「今は…新居だなお隣さんと航と一緒に」

「いく。わたしもそっちにいく」


 え、は? くるの?


「オンコラボでいいんじゃないの?」

「や、ぜったいいく! むかえにきて!」


 俺が行くんかい!

 それからましろが久しぶりに頑固を発揮して撤回できず、ふたりに提案したところさくらも折れた形で了承してしまい、なし崩し的に突発的オフコラボが生まれてしまった。


 なんだこれ? もうどうにてもなーれっ☆

 余談だが、オフコラボツイートしたら一瞬で3万リツイートを達成していて、動画配信サイトの待機所にはすでに10万人が待機していた。

 もっかい言うわ、はえーよホセ。

はえーよホセ。なおまだ混沌は収まりきっていない模様。


あとましろのメスセンサーは康太と違って感度がかなり高いです。幼馴染ぱぅわーってしゅごい。ましろみたいな幼馴染どっかに落ちてないっすかね?

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