神絵師、コミディアの打ち上げをしました。
今回は糖度成分多めです
「コミディア完売と無事帰宅できたことを祝って…乾杯!」
「「「「かんぱーい!」」」」
「ぁーぃ…」
言葉通りコミディアが無事終了してうまいモノを食べにきていた俺たちは、一部(希望の鹿と紫モンペのコスを纏った人間)から近所で一番高級な焼肉に行きたいという要望から、着替えて直行している。
まぁ売上から出すしその1%に届くかどうかの予算だから誤差も誤差。
今日はうまいモノでも食べて良い思い出にしてくれぃ。
「先輩、あ~ん」
「萌衣菜お前それ生だぞ」
「や~ん☆ 食べさせたくて先走っちゃいました☆」
白い目で焼く前の肉を見送る。そして隣にいた持ち主には呆れの目を向けたが…何を思ったのかわざわざ網の上に肉を置いてからほっぺに手を当ててくねくねしていた。肉を焼け肉を。
と、思っていたら逆サイドから服を引っ張られる。
「康太、あーん…」
「ましろお前まだ焼けてないぞ」
「うぇぇ…おなかすいたぁ…」
口を開けて餌を待つ羊…ではなくひよこをなだめる。さっき乾杯したばかりだろうに、あっ…、カル〇スのグラスですら持つの重いのね…。
うーん、まぁ今日は頑張ったし…これくらいなら良いか。
「ほれ、口開けろ」
「んぁー…ぁむ…むしゃむしゃ…」
最初に運ばれていたお通しの野菜を口に放り込むと、器用に口だけで頬張った。全自動野菜吸い込み口のようで面白い。いつものことではあるけど。
「せんぱぁい? あたしにはないんですかぁ? せっかく先輩のために今日はいっぱい頑張ったのになぁ~? あ~、先輩からの無償の愛がほしいなぁ?」
「すまんな、俺のは無料じゃないんだ」
「いつもありがとぉ~あとで身体で返すねぇ~」
「んなっ!?」
訂正するのが面倒だけど、ゲームとかの話だ。
ここしばらく返してもらった記憶がなければ、恐らく過去一度しかない。
あとっていつだ? このまま貸しだけが増えてくんだが。特大負債で支払わせようかグへヘ。
「ねぇこーちゃん。いつもましろんにナニさせてんの?」
「よもやよもやだ。穴があったらぶち込んでるんだろうな」
「ストレートすぎんだよバカが。あと孝宏は酔うの早いんだよ」
まだ一杯目だろ。発泡酒で酔いが回るの早すぎん?
つかド下ネタで草。
「あ、お肉焼けたかなぁ…」
こっちはマイペースで草。
「せ・ん・ぱ・ぁ・い・?」
こっちは笑顔で怒ってて草。
よかった、今日ここにななみさんいなくて。余計にカオスになるところだった。
カオス過ぎてカオスソルジャー融合召喚するところだったわね。
「誓って何もしてなければ、何も返してもらえてねぇんだよ…」
「ましろさんェ…」
「もしゃもしゃ……はぐはぐ……んぇ?」
目を半分くらい閉ざしながらも美味しそうに上カルビを口に入れて咀嚼していたましろを信じられないような目で見ている萌衣菜。
新鮮枠だ。
「俺もう諦めたよパトラッシュ……」
「先輩…ここはやっぱりあたしたちでましろさんを育てていきましょう? 夫婦で頑張るんです!」
「やぁー…」
「ましろさん。諦めてね? そしてあたしたち夫婦に寄生するんだよ?」
「んにゃぁ…めーがいじわるー…」
「だぁめ♪ ましろさん、お肉とお野菜よ~」
「やぁだぁー…お肉だけがいいのぉ~…はむ…」
「結局食べるんかい」
文字通り目の前で野菜に肉を包んで萌衣菜がましろに食べさせているが、あーんと言うよりは餌付けだ。なんだろう、出荷するブタに対して「美味しくなーれ」と丁寧に餌付けしている優しい飼育委員さんのよう。
ましろが本当に萌衣菜に食べられたら笑う。精神的にはいつ食べられてもおかしくなさそうだけど。
「いやぁ…今日は賑やかだねぇ」
「個室席で正解だったな」
「騒がしいのはこの二人…」
そう言ってわーきゃー言いながら食べさせ合っている二人を横目に肩をすくめる。まさにやれやれだぜ、ってやつ。
そろそろ腹減ったな…。
「あ、先輩お肉焼けてますよ、野菜に包んでおきましたから、はいどうぞ」
「ん? あぁサンキュー」
うめぇ…空腹に肉は最高だ。そこにビールも追加したら本当にもう語彙力。酒うめぇ。酒うめぇ。
「今ナチュラルにあーんしてたよバイタリティやべぇやつ」
「まさか本当に食べてくれるとは…」
気付かんかったわ。自然過ぎて気付かんかった。
思わず萌衣菜を見てしまうが、隣の席であーんをした萌衣菜とは…まぁ顔が近いわけだ。そして数秒見つめあったらこいつは何をすると思う? 目を閉じるわけだ。
「……しないぞ?」
「うーん、あともうちょっとでしたね!」
カラッと言ってのける萌衣菜。本当に惜しそうなら顔に出すが良い。
と、思っていたら逆サイドから服を引っ張られる。
「康太、あーん…」
「…ほらよ」
「んにゃぁ~…うまうま…」
野菜に肉を包んで食べさせる。
もっちゃりしてる可愛い生き物だが…こう…ね。
「なんだろう? あーんってドキドキするもんだと思ってたけど。大谷くんと触手のやべーやつどう思う?」
「まぁこいつらがやるのは餌付けだからな」
「こーちゃんとましろんについては今更でしょ? どうせこーちゃんのことだから、豚に餌をあげて肥えさせてから出荷させようとでもしてるんじゃない?」
「そんなー(´・ω・`)」
「航、正解」
「そんなー(´;ω;`)」
半分泣きべそをかいているが、意見は4対1で圧倒的な敗北である。弱者! 民主主義はやはり正義。
「まぁ康太に食べられるならいいんだけどねぇ~…」
「そんなことよりも早く借り返せよ…」
「ぷむぅ…」
へちゃむくれるましろだけど、ほんとあぶねぇ球投げてくるな…。というか今日のコイツは油断ならない。何がコイツの琴線に触れたんだ?
俺は何もしてないはずだけど…?
「あたしも~、先輩に食べられるなら本望ですよぅ?」
「バイオレンス極まりないな。ほれ、肉焼けてるからたーんとおたべ?」
「わーい! 先輩からのお肉~」
「こっちも餌付け始めたな」
「出荷はいつになるんだろうね~」
「そんなー(´・ω・`)」
「その時はふたりまとめて買い取ってくれよ。卸先放棄すんなよ」
「なんで肉を食べさせただけで、二人をまとめて引き取るみたいな話になってんだよ」
展開がカオス過ぎてついていけない。そして両隣がまんざらでもない顔してるのが納得いかないのだけども。豚を買えばいいの? おら鳴くんだよ。可愛い豚声でな!
「康太…いっぱい食べてね?」
「カーちゃんか」
「先輩…いっぱい召し上がってください♪」
「だからカーちゃんかて」
可愛い声だけどカーちゃんはNGで。ママ属性やバブみは良いけど人妻はチェンジでオナシャス。
寝取りを許すな! 寝取られを許容するな! 我は断固として強要を見逃さない!
あれ? そう考えるとこの二人を引き取るのが正解なのでは?
「仕方ない、二人とも美味しく食べてやるからな」
「わーい…」
「やぁん♪」
気分は王様だぜ。もっとお酒飲みてぇな! ガハハ。
-- side. 航--
「ありゃ。こうちゃんが壊れた」
寄ったらタガが外れるこーちゃんを久々に見たなぁ…。
「まぁ康太もたまには息抜きしたほうが良いだろ」
「だね。そろそろ気張らないといけないだろうし」
「始まるんだったか?」
「デスマーチがね。なんで辞めた先でも命削ってんだろうね」
聞いてはいるけど、まぁメイン看板に立ったこーちゃんも責任持たなきゃいけないから、今回は自己責任ってことで。
でもなんで生き急ぎみたいな生活サイクルなんだろうね。親友兼幼馴染として誇らしいけど身体が心配だじぇ。
まぁそれはそれ、これはこれ。スマホスマホ…シャッターチャンス。
「今のうちにこーちゃんの醜態を取っておかないと」
「公認二股、クズここに極まれり」
「ななみっちに送ってあげないと」
「……マジでやめろ…。これ以上友人をクズにするんじゃねぇよ」
面白そうだから動画にしておこっかな。
切り替え切り替え。あ、ななみっちには送らないけどね。そのうち酒のつまみにして揶揄ってあげるだけさっ☆
「なんで俺はこいつらのダチ続けられてんだろうな」
「しみじみ言うことじゃないよ~」
俺たちの中で一番酔ったらやべぇのは間違いなくこーちゃんなんだけど、たかちゃんもたかちゃんでやべぇからね? 脱ぎ癖とボディビルはどうかと思うんだ、おれ。
今はこっちのほうがやべぇけど。
「こーたこーた。あーん」
「ほれ、もっと食べろー」
「先輩先輩! あたしにも食べさせてくださいっ!」
「いいぞー。ほれ野菜」
「お肉ー!」
「あははは! 悪い悪い、ほれあーん」
「あむっ…ん~おいしいですっ!」
「こーたぁ…めーだけじゃなくてわたしももぉ~…」
「先輩先輩~。もういっそのことあたしたち二人まとめて引き取ってもらえませんかぁ?」
「いいぞいいぞ~。お肉が増えるな~」
「「わぁーい」」
……まぁこの三人に比べたらマシなのかもしれないけど。
というかましろん、キミお酒飲んでないよね。
…………考えるのやめよ。がんばれこーちゃん。
-- side. 航End.--
ご覧いただいたから認知したかと思いますが康太は酔ってます。孝宏によってるのか言ったけど、康太も康太で弱いですからね。
このツケはいつか本人たちに支払ってもらいましょう。




