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この後、宍戸君改め遼太君は私に猛アピールを始めた。

………宍戸君なんて言ってたら意味深な笑みを浮かべて、そんなに既成事実作りたいの?とか言ってくるから半ば強制的に名前で呼んでいます。泣きそう。

しかも最初は周りもびっくりしていたのにどんどん味方につけて囲い込みが始まった。

むなしくも友だちが裏切り私を差し出す始末である。

「う、裏切り者!」

「いやいや、宍戸君が健気すぎて応援したくなったから。だから、早くくっつきなよ!」

グットラックと言わんばかりに親指を立てて私を遼太君に捧げる。

また、家族もそう。どういうわけか、うちの母が遼太君のお母さんとはお友達同士だったらしく色々な情報を遼太君に流していたようだ。

「だから、早く諦めたほうがいいよ?」

「あ、諦めない。あんなホラゲーのような夢を見させた人とは付き合えません!」

今、なぜか私の部屋に居る遼太君が何故か私を抱きしめて座っている。

「…そんなに怖い夢見たなら俺と一緒に寝る?」

「嫌です!断固として拒否します!」

というか、心臓が持ちません!!もう遼太君に落ちかけている一歩前なんです!

「なら、今すぐ俺のものになったら、沙希ちゃんの大好きな苺のタルトをいつでも作るよ?」

「うぐっ……、な、ならない!」

この男、私の好みを熟知していて餌付けをされている。

「……今なら沙希ちゃんの好きなふわふわオムライスも作ってあげるよ?」

「よろしくお願いします!遼太君」

こうして、私は餌付けにより遼太君の彼女になりました。

……夢だと思っていると痛い目にあうことを私は今になって痛感しました。

「ああ、それとあのおまじないって続きがあってね。あのおまじないが成就するとそのカップルは永遠の愛を誓うんだって」

「……………ナンダッテ?」

聞き捨てならないことを話す彼をギギッと壊れたブリキの人形が動くかのように振り向いて見るとにっこりと笑うイケメンがいた。

「沙希ちゃんは確か結婚式はウエディングドレスがいいんだよね。後、場所は確か前に雑誌で取り上げられていた人気なところで挙げてみたいなって言っていたね」

「な、な、なっ」

「あ、費用とかは気にしないでいいよ。これでもちょっと小遣い稼ぎでFXとかしててかなり貯まっているからね」

「ヒエッ」

「それと結婚式やるんだったら色んな人を呼ぼうね。そうだなぁ、式を挙げるなら」

とさらさらと話す遼太君。もう確定と言わんばかりに話すからな、何とかして話を逸らさないと。

「ああ、結婚式には」

「りょ、遼太さん。私、次の土曜日に水族館に行きたいなー?」

「うん、いいね。前にいきたいって言ってたところでいいかな。ちょうど、チケット貰ったから良かった」

な、なんとか話を逸らすことができた…………。できたけれども、もしかして私、選択ミスってない?

「これからもっと俺のことも知っていってね」

と嬉しそうに笑う彼。

…………ちょ、ちょっと彼のことを知ってから考えよう。うん、そうしよ。

その考えさえも間違いだったと痛感することを私は知らなかった。

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