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「よーし、早速入ってくれ」
ガラッとスライド式のドアを開ける編入生。
クラスが全員見つめる中先生の隣に立った。
「宍戸遼太君だ。前まではここに住んでいたようだが、ご両親の都合で今までイギリスに住んでいた。皆、仲良くするように」
先生が紹介をするが多分、誰も聞いてないだろう。
艶やかな黒髪に色白の肌、長身に端整な顔をした美形が立って居るんだから。
私はわー、美形だなと思うぐらいで周りを見れば全員顔赤くして呆然としている。
どんだけだよと呆れながら前を見る。
「それじゃあ、軽く挨拶を」
「初めまして、宍戸遼太です。久しぶりの日本ですので至らない部分もあるかと思いますがその時は教えてください。よろしくお願いします」
おー、美形なのか声もすっごく綺麗だ。
「じゃあ、席は倉橋の隣だな」
あ、やっぱりなのね。前から美形が来るよー。
「よろしく、倉橋さん」
「あ、うん。よろしく」
にこっと笑いかけてくるイケメン。
普通に挨拶を返して前を向く。うわー、前から友だちの恨めしそうな顔がぁ。
代わってくれないかな?というか、してくれ。
「よーし、入学式に行くぞ。全員廊下に並べー」
入学式を終えてクラスに戻ると編入生である宍戸君の周りにはクラスメイトが集まっていた。女子の他にも男子も混ざっている。…ハーレムかと思った。
「いいなぁ、沙希」
「なら代わって。代わっておくれよ」
「え、無理。私の心臓が持たない」
裏切られた!
「というか、宍戸君って前に住んでたんだ。知らなかったな」
「そういえば、そうね。宍戸君みたいな子いたっけ?」
覚えてなーいと友だちが言う。
私も全く記憶にない。宍戸君みたいな子がいたら忘れないと思うんだが…。
「ええ!?宍戸君って○△小学校に居たの!?」
「うん、まぁ、小学校二年生の時に引越ししたから忘れてるかもね」
「うわー、まじか」
話から私や友だちが通っていた小学校にいたようだ。覚えてないが。
そして、総合学習の時間となりクラスでの委員会決めが始まる。
私は図書委員になった。
本読むのが好きで1年生の頃も図書委員をやっていたし、そんなに人気がないからあっさりと決まった。
黒板には名前が書かれていく中で、何故か宍戸君が私のことをじっと見てくるんですけど??
「倉橋さんって本好きなの?」
「え、う、うん。好きだよ」
不意に宍戸君が声をかけてくる。
びっくりしたけど答えれば、そうなんだ。変わってないねと嬉しそうに笑っている。
…変わってないね?あれ、彼に本が好きって言ったけ?
首を傾げている間に彼は先生に呼ばれて席を立った。
その後は何事もなく日々が過ぎた。宍戸君がよく声をかけてくるようになった以外は。
隣だからというものがあるのか教科書でわからない箇所を聞いてくる。
何かと絡んでくる。何故だ。