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「沙希ぃ、朝よー!」
「………何なの?」
母の声とともにパチッと目を覚ました。
一体何だったんだろう、あの夢は?まぁ、怖かったけど夢が覚めてよかった。
スマホの画面を見ると四月一日六時ジャスト。
二階の自分の部屋から出て階段を降りるとリビングからご飯をよそっているのであろうしゃもじを持った母がキッチンからひょっこりと顔を出した。
「珍しいわね、あんた。いつもなら声をかける前には起きてくるのに」
「うーん、変な夢見たせいかも」
「何言ってんの。ほら顔洗って支度なさい」
呆れた様に母がそう言っていわれるがままに、洗面所に向かった。
支度をし学校へ行く。
30分前にクラスにつくとほぼ全員がいた。
「あ、沙希。おはよー」
「おはよう、早いね」
前に座る友だちに声をかけると何か楽しそうに笑っている。
「実はね。今日、このクラスに編入生が来るんだって!し、か、も滅茶苦茶チョーイケメンらしいの!」
「あんた、ミーハーだもんね。っていうか、それ何処情報?」
「隣の子から!」
「成る程ね。…そういえば、あんた夢占いとかハマっていたよね」
ふいに思い出した。この友だちは占い好きである。
「うん。え、もしかして、また死ぬ夢でも見たの!?」
ドン引きする友だち。そりゃそうだ、ただでさえ今日は入学式で新入生にとっては晴れ舞台なのに夢が死ぬ夢とか運が悪すぎる。
「違くてなんか旧校舎に居て教室を回っていく夢」
「え、何、ホラーチックな夢」
「特にこれと言って驚かし要素はなかったんだけど花瓶があってね」
そして友だちに花瓶があって花が差してあり最後が四葉のクローバーでそこで夢から覚めたと話すと友だちはスマホで調べてくれた。すると、友だちがバッと顔を上げてキラキラと輝きそうな目で私を見つめてくる。
「あんた、すっごいいい夢見たわね」
「…………はい?」
「その夢、恋の夢だって!」
………………こい?故意?濃い?鯉?はい?鯉って私魚になるの?
「しかも最後の四葉のクローバーって花言葉で『わたしのものになって』とか『幸福』の意味があるじゃん!よかったね、あんた今年こそ恋人できるよ!たぶん!」
あ、恋愛のほうですか。へぇ、怖い夢だと思っていたら恋愛の夢か。
かなり、重そうな愛だな。それ。
「おーい、席につけぇ」
「あ、先生来た」
ガタガタと席に着くクラスメイトたち。私はちらっと隣を見るとなぜか空席になっていた。
先ほど友だちが言っていた編入生が隣りに座るのだろうか。
うわー、嫌だ。女子からの嫉妬の目が向けられそう。
まぁ、友だちが言うチョーイケメンとは限らないしいっか。
「お前らも聞いてるかもしれんが編入生を紹介する」
「センセー!男ですか?女ですか?」
「おー男子諸君逞しく生きろよ。男だ、しかもイケメン君だぞ」
きゃあと女子が騒ぐ、なんでだよ!と男子が嘆く。なんだ、このカオスは。