外伝第1話 天才
神崎天矢。彼は天才だった。だからこそ彼は退屈だった。
毎日毎日詰まらない日々を送っていた。18歳になったある日。
「天矢くん。魔法って知ってる」
彼は魔法を知った。
「魔法ってのはね、火打ち石無しで火を出したり、川に汲みに行かなくても綺麗な水を出せたりして誰もが憧れるものなんだよ」
彼は天才だった。天才ゆえ憧れなど無かった。そんな彼が初めて憧れた。魔法という幻想の力に。
神崎天矢は魔法を創ろうとした。
彼は自分のためだけでなく、魔法を教えてくれた楓雫のためにも創ろうとしていた。
天矢は雫のことが好きだった。だから彼女の誕生日に魔法で告白しようとしていた。
そして雫の誕生日がやってきた。
天矢は雫を夜の公園に呼び出した。
「どうしたの? 天矢君」
雫は分かっていた。天矢が自分のことを好きでいてくれてたことを。雫は期待していた。
「雫。俺はお前のことが…」
ドクンドクン
「好きだ」
天矢は思いを伝えると空中に文字を刻んだ。
"好き"と…。
すると天矢と雫の周りが光の玉に包まれた。光は色を変え、七色に光った。最後に光が空に舞い、花火のように光って散った。
雫は惚れた。
雫は答えた。
「はい」
ここから彼らの物語は幕を開けた。
●神崎天矢
年齢…18歳
性別…男
好物…無し
●楓雫
年齢…18歳
性別…女
好物…炭酸