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第9話 楓桔梗
今日はこの学校に転校生が来るらしい。クラスの皆は大騒ぎだ。
「それでは席について」
先生が皆を席につける。
すると入り口から女の子が入ってくる。
「あの子は…」
入ってきた子は、昨日家の近くまで送ってあげた子だ。転校生ってあの子だったんだ。
「私の名前は楓桔梗。あの有名アスリート。楓色覇の娘です」
凄い。
楓色覇という女性は、水泳やテニス、野球など全ての競技で一位を獲得した、人類の中では最も強く、最も才能がある。
多分、この世の全てのアスリートが彼女と戦っても、勝てる種目は一つも無いだろう。
そんな逸材の娘だ。きっと彼女も凄いのだろう。
彼女の席は俺の隣。
「よろしくな。楓さん」
俺は笑顔で言うと、楓も笑顔で答えてくれた。
「こちらこそ」




