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藤川菜乃花は喋れない 。  作者: 白咲 名誉
第一章 君の声が届く距離
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第四話 【boys&girls】

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いつもより少し早く起きてしまった。いくら待っても返ってこず、眠ってしまっていた。


 


 目を覚ますと真っ先にスマホの電源を付ける。ロッキーが両腕を伸ばしている壁紙しか表示されていない。



 だが既読だけされていた。なぜ喋れるようになりたいのか。一番の問題点が彼女にとって突っ込んではいけない核のようなものだった。



 生成された心の靄はずっと晴れずにいる。どうにか払拭したくて部屋のカーテンを開けてみた。黒く煮ごった雲が空を隠している。



 雨は夕方に降り出しそうな予感。湿った空気のせいかズンと重石が心に置かれているようで気持ちが悪い。



  朝はあまり強い方ではない。いつも、二度寝の魔の手と格闘する。



 何もしたくなくてスマホをそっと枕元に置く。意識が途切れてくれればいい。胸に渦を巻く気持ち悪さを解消できるのに寝付けやしない。



 だからベッドから無理やり体を起こすことにした。ウダウダしていてもどうしようもない事が明確だ。



 一階の居間に降りて朝食を食べる。学校に行く支度をした。玄関でもう見るのは最後にしよう。そう再度スマホを起動した。期待は空振る。どこからもメールはなかった。



まだ関わって2日しか経っていないのだから仕方が無い、自分に言い聞かせて靴を履いた。



その時だった、タイミングが良いのか悪いのか藤川さんのアカウントからRainが来た。





菜乃花:朝早くにすいません。昨日の質問についてです。



 私は小学生の時にクラスの人にいじめを受けておりました。それを助けてくれた生徒が高校にいます。私はその人に感謝の言葉を伝えたいから喋れるようになりたいです。


これが私の返答です。



昨夜はメッセージを送れなくてすいません。質問に答える勇気がなくて遅れました。なぜならあまり読んでいて気持ちの良い内容ではないからです。



 君に徳の無い相談をして協力を打ち切られるのでは・・・。そう思うと軽はずみな言葉ではまとめられませんでした。



大した事ではありませんが、私のわがままに付き合っていただくと嬉しいです。




長文はここで終わる。なんだそれ。本当に大したことがない。




唯一は〝そんなことだったんだ”と他人ごとに思えてしまっていた。冷たい感想しか思いつかない。




唯一: 教えてくれてありがとう 




 こんな簡素な応答で、いいのか・・・?このまま関係を終わらせるのも忍びないじゃないか。矢印ボタンを押す手を止めてキーボードを展開する。




唯一: 教えてくれてありがとう 俺も人付き合いは苦手でさ笑 だからお互い頑張ろう!



意味のない頑張ろう。文章の頭が更新されてキャッチボールは途絶えた。




ぽつぽつと降り始める。綾瀬の母さんの車で学校に送ってもらう。




何台か校門前の路上に停まっている車があった。




「幸太くんのお母さん、ありがとうございます」



「じゃ」



 雨の勢いは強くなる。正門にはいくつも大小さまざまな水溜まりがあった。踏み越えられるサイズを見つけて飛び越える。玄関に辿り着いた。上履きに履き替えている時にふと俺は藤川さんの下駄箱を覗いた。上履きは無かった。俺達よりも先に来ているみたいだ。



天気の悪さに比例して登校する生徒は極端に早かったり遅かったりする。



長文のメッセージを送ってきた時には既に学校にいたのだろうか・・・。



 予想は外れて藤川さんは席にはいなかった。銃声に劣らずの強烈な雨音に重なるクラスの喧騒。湿度が高いと頭が痛くなる。なんでこんな時にテンションが上がるんだよ。



 耳障りがひどくなる一方で眠れやしない。頭を巡る血液の速度が上がる。頭蓋骨がとうとう割れそう。薬なんて持っておらず、たらふく水道の水を飲むしか手の打ちようがない。



 鉄っぽい味がする・・・。でも幾分か頭の血管の波打つ痛みが緩くなってきた。その頃に藤川さんが廊下を歩いているところと遭遇した。



 目が合うと足を止める藤川さん。会釈をする。リュックサックを背負っていたので今、登校して来たようだった。




  授業は普通通り行われる。雨のせいなのか、時間がゆっくり流れている。そして相変わらず退屈だった。俺も珍しく板書をした。一通り教師の話は耳に入っているので、今回先生が話す内容はしっかりと理解はできていた。




 昼から小雨になって朝より天気が落ち着いてくれた。まだ歪な黒い雲は太陽を隠し、昼間なのに一日中、月夜のように仄暗い。




  正面玄関は途中、体育館までの廊下と繋がっている。放課後になった瞬間に部活が始まるので部室へと通う生徒と授業が終わったのを喜ぶ帰宅部達で一斉に玄関でごった返している。



 しかもたまたま掃除が無い日なので全員がここに集まる。汗の蒸れた匂いが大変充満する。運動部が臭いを振りまいている。



綾瀬ともここで合流をする。ちなみに出会うまで待つ。2人とも帰宅部なのでいそいそと帰る。



 人の流れに添って歩いているが名前を知らない生徒と肩が何度もぶつかる。筋肉とは無縁な生き方をしているので衝突するとよろめいて後退してしまう。狭い廊下なので人口密度が濃いから仕方がないが不快だ。



「傘持ってきて正解だったな」



「だな、綾瀬の母さんにもまたありがとうって伝えておいて」



「おう」



 2人とも今日のクラスの出来事をここで話している。綾瀬が話せば耳を傾ける。交互に繰り返して会話をする。



冷たいタイルの廊下。上履きを履いていてもひんやりと感じる。



ここには生徒の大体が集まっている。ふと全体を見回して藤川さんを探した。



一斉に教室を出るので俺の近くには見知った顔がいる。なのにどこにも見当たらない。



 似たような背格好の人がいても他人の空似。藤川さんの下駄箱を見てみると外靴が置いてあるまま。そりゃそう。まだ帰っていないんだ。朝の不自然な下駄箱入れ。まぁ見間違いだったんだろ。




 傘をさして他愛もない話で家路に着く。平日は毎日顔を合わせるのに話題に事欠かない。笑わせてくれたり笑わせたりをターン制で行う。




夕飯時まではビデオを見てから、20時頃にふと、藤川さんにrainを送った。



唯一: 今日は雨ひどかったね



何分か経って返信が来た。



菜乃葉: そうですね でも静かに勉強ができるし濡れることを除けばメリットばっかりですよ



唯一: うーん 俺はべんきょうしないしなーww



菜乃花: たしかに!いつも寝てますもんねw



そう言われると何も返せないんだがな・・・。



唯一: 今日はちゃんと受けたもんw



菜乃葉: そうでしたね。 ちゃんと勉強をしていないと内申に響きません?



 女子と砕けた内容の話をするのもそれをrainで送り合うのも新鮮でドキドキした。今回は会話選びに手こずらず心から楽しかった。


唯一:うーんどうなんだろ。あの先生はちゃんと先生してくれているのかな笑



油絵のウサギがピンク色の!?マークを頭に浮かべたスタンプが届く。



唯一: そういえば、藤川さんって部活とか委員会とか入っていたりするんですか?



菜乃花: 入ってないですよー どうしてですか?



唯一: 俺の下駄箱入れってさ藤川さんの下駄箱入れと近いんだ。それで俺が帰る時はまだ藤川さんの靴があったからさ



 今日は委員会はないはずだった。藤川さんが部活に入っていた記憶もない。先生に呼ばれていたのかもしれないが。



・・・・・・というか見直してみると深い仲でもないのにこんな事を聞いてくるのは気持ち悪いな。




菜乃花: いえいえ 今日は探し物をしていたり、掃除をしていて帰りが遅くなったんですw



息を吐く間もなく



菜乃花:すいませんそろそろお風呂に入りますね 楽しかったです おやすみ



俺はおやすみと、一つ送ると既読だけが着いて今夜も終わった。




「おやすみ」か。ふと気がついた。



 藤川さんがタメ口を使ったことに。もしかしたら敬語が抜けたのは単なる偶然かもしれない。たとえ偶然でも気を許してくれたのがうれしかった。日常で使う単語を使ってもらうのって平穏って感じがした。



おれも平たい布団で寝ることにした。



 いつもは瞳を閉じても何も感じず、考えることをせず熱が冷めるように意識が遠のく。だが今夜はそれがなかった。



rainでの会話が頭の中で繰り返し反復していて、それはとても心地の良い眠り方をした。


裏話


藤川菜乃花さんの伸長は166センチの細身で右目の下には小さな黒子があります。アギトを左手で擦ってしまう癖があります。彼女自身気が付いてません。


好きな曲は「心の地図」です 


好きな漫画のシーンは鼻の長い狼少年がもう一度俺を仲間にしてくれーと頼み込むところです。


 巻数が多くて主人公のお兄さんがマグマで貫かれたところで読むのを一時ですけれども断念しているそうです。漫画は一気読み派のようです。


 アニメ、漫画、フリーゲームが好きでキャラクターに感情移入しすぎで大粒のなみだを良く零します。


いつか喋れるようになったらやってみたいのはコスプレらしいです。


「ウソだぁ!」って言ってみたいそうです。大抵のグロはいけます。


こんなパクリみたいなのやっていて怒られないかな・・・?


不愉快だなと思われたら菜乃花さんのプロフィールを消します!

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