この日
「カリカリ」竜は今日もカリカリの相手をします。
今日も いつもの食べ物を集めてあげましたが、お気に入りの硬い実は入っていませんでした。
カリカリが自分で藪の向こうに食べ物を探しに行けるように訓練をしようと思ったのです。
カリカリはいつもの実が無いので「ぴぃ?」と首を傾げて竜を見上げます。でも竜は知らんぷりをしています。カリカリはしばらく藪の前で、うろうろまよっていましたがそろりと藪に入って行きました。
竜は自分から始めた事なのにカリカリが心配でなりません。首を伸ばし、耳を澄まして藪の向こうの様子をそわそわと探ります。
すると、藪を掻き分けてカリカリがすごい勢いで駆け戻ってきました。カリカリは竜の足元にはりついてぷるぷる震えています。竜が優しく呼びかけるとようやく落ち着いたようで、身体の震えは収まりました。
でも竜の足にぴったりはりついたままです。
それでも、しばらくすると足元からコリコリ、コリコリ、コリコリ、コリコリと物音がします。
何もせずに逃げ帰ってきたと思ったのですが、何やら食べ物を取って来ていたようです。
かじる音がいつもとは違うのでお気に入りの硬い実ではないようですが、自分で見つけた物なのでまあいいかと思いました。
もうその日は、カリカリは竜の足元から離れずにずっとコリコリ、コリコリ、コリコリ、コリコリしていました。
竜は身体登りをいつものようにして欲しかったのですが、カリカリがコリコリし終わると、すぴすぴ寝息をたてて眠ってしまったので今日のところはそっとしておいてあげようと思いました。
竜は久しぶりにぼんやりとしますが、カリカリのことが気になりすぐに足元の方へと意識を向けるのでした。