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ある日

「ん?」竜は森が騒がしいのに気づきました。何か生き物が大さわぎしながらこちらに近づいて来ます。しかも大きいものと、それよりずっと小さなもの。

どうやら大きいものが小さなものを追いかけ回しているようです。

物音はどんどん近づいて来ます。

やがて目の前の藪から ぽんっ と 、とても小さな獣が飛び出して来ました。続いて、もっとずっと大きな魔獣、と言っても竜と比べるとはるかに小さい生き物が飛び出して来ました。久しぶりに見た他の生き物に竜がおどろいていると、魔獣の方がもっとおどろいたらしく、「ぎゃっ!」と叫んですごい勢いで、もとの藪に飛び込んで逃げて行きました。

後にはとても小さな獣が残されています。竜は顔を地面ぎりぎりまで近づけてみてみるとそれは小さな魔獣の子どもでした。元々ほとんど魔力も持たない種類の小さい魔獣のさらに子どもですから竜の鼻息で吹き飛んでしまいそうです。

その子どもは元の姿も分からないほど ぼろぼろで息も絶え絶えです。

竜は少し考えて魔法で子どもの怪我を治してあげることにしました。なにせ竜はもうずっと長い間ひとりぼっちで寂しく過ごしていたので、他の生き物と話してみたかったのです。

傷が治っても子どもはぐったりしたままです。ずっと大きな魔獣に追いかけ回わされ疲れはててしまっていたのです。何かさっきの魔獣よりももっともっと大きなものが側にいるのは分かっているのですがもう動くことが出来ません。それにその大きなものはさっきの魔獣と違って恐ろしい感じはしないのです。傷の痛みが無くなってほっとした子どもはそのままぐっすりと眠ってしまいました。

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