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わらしべ長者編 呪いの装備 アレで〇○〇〇〇の…

初めての物々交換で500ミリリットルのスポーツドリンクを手に入れた赤矢と、催涙スプレーを手に入れた日和。ゴッドアイを使い、次の交換相手を探す。


「げほっげほっうえっ誰か水をくれぇ…」



 (ゴッドアイ)

 気を取り直して物々交換へと戻る。現在俺の手元には500ミリリットルのスポーツドリンクが握られている。果たして自動販売機やコンビニが乱立する現代社会において、他人が持っているスポーツドリンクを欲しがる人間など居るのか…


 「げほっげほっうえっ誰か水をくれぇ…」

 いた。駅近くにある歩道橋にもたれ掛かる形で、ママチャリに乗っている男性が息も絶え絶えに助けを求めていた。


 「大丈夫ですか?これを」

 俺は神速でママチャリ男性に近づき、スポーツドリンクを渡す。ママチャリ男性は奪うように受け取り一気に飲み干す。


 「ぷぁーっ。生き返ったぁ。助かったよ。ありがとう」

 話す元気が出たのか礼を述べてくるママチャリ男性。


 「どういたしまして。いったいどうしたんですか」

 とりあえず、事情を聞いてみることにした。


 「いやぁ、僕は普段あまり外に出ないんだけど、久々にちょっとそこまで出てみようと思ってね。それにしてもちょっと見ない間に町ってこんなに変わるんだね。駅なんてあったかな?それにビルまで。もしかして隣町まで来ちゃったかな。君、ここって何町?」

 何だこの人、浦島太郎ごっこでもしているのか。こっちはわらしべ長者ごっこをしている。


 「〇〇町ですけど」

 町名を答える。だがママチャリ太郎の反応は薄い。


 「〇〇町って何県?」

 「〇〇県ですけれど」

 県名を聞くとママチャリ太郎が驚きの表情を見せる。


 「嘘でしょ。〇〇県ってカントー地方じゃん」

「あの...どこに住んでいるんですか?」

 この人いったいどこから来たんだろう。


 「〇〇県、キュウシュー地方の」

 驚愕の事実が述べられる。キュウシュー地方だって?キュウシュ―地方の〇〇県って、ここから何百キロあると思っているんだ。ちょっとそこまでっていうレベルじゃないぞ!


 「あの、もう電車かバスに乗って帰った方がいいんじゃないですか」

 この人の方向音痴は常軌を逸している。このまま行ったら地球の裏側に行ってしまいそうだ。


 「そうだね、でも財布を持ってきていないんだ」

 ママチャリ太郎は特に落胆した様子はなく、飄々と告げる。

 

 「あーじゃぁこれで夜行バスに乗ってください」

 しょうがないので財布からなけなしの2万円を渡す。ここで見放して後日ニュースで変死体として報道されたら目覚めが悪い。


 「いいのかい。ありがとう。お金の代わりと言ったらなんだが、このママチャリを受け取ってくれないか」

 こうしてスポーツドリンク(+2万円)が汗でベッタベタのママチャリへと姿を変えた。正直言って新しいものを買ったほうが安いのだが。


 汗でベッタベタのママチャリを手に入れ、駅周辺を手で押して交換相手を探索する。正直言って早く手放したい。手がベタベタするし、何だか周りの人が距離を取っているような気がする。恐らく気のせいだろう。自転車を漕いでいたら普通汗をかくものだ。もし周りに悪い影響を与えていたのならばとんだ呪いの装備である。


「その汚物を今すぐどうにかしなさい」

 日和が俺とママチャリから10メートル程離れた後方から言ってくる。どうやら本当に呪いの装備だったらしい。なら交換しよう。その催涙スプレーと。




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