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3時限目 世界史 生きたまま〇〇に そして昼食へ

「あっここは」

...またですか

 3時限目 世界史

 「授業を始める。24ページ」

 教壇に立っているのは吉田静雄よしだしずお。50代男性教師で声が小さい。生徒たちの大半は何ページといったのかわからず、とりあえず適当なページを開いている。


 (24ページっと)

 だがしかし、神の力を使い聴力を100倍にした俺は、どんなに小さくてもよく聞こえていた。うるさいほどに。


 「力の無駄遣いですわ」

 力を使ったことを察知したのか隣に座る赤髪ツインテがつぶやく。しょうがないじゃん。今の日本はとても平和な国です。力の使い道だってこれくらいしか思いつかない。


 「あっここは」

 開いた教科書の1ページを見て赤髪ツインテが感慨深そうにつぶやく。そこには火山の噴火によって地中に埋もれた町、ポンペイについて書かれており、発掘された街並みや生きたまま石像になってしまった住民の写真が載っていた。


 「懐かしいですわね。当時、ここは神々にとって有名な観光スポットでしたの。多くの神が人間になりきって町を観光していましたわ。ですがあの出来事で町は壊滅してしまいましたの」

 あの出来事とは恐らくヴィスヴィオ山噴火のことを言っているのだろう。ポンペイの町は火山灰によって壊滅。逃げ遅れた住民は火山灰を吸い込み生きたまま石像にされる。


 「火山の噴火。実は神の仕業ですの」

 またもや神絡み。もう驚かないぞ。


 「1人の芸術家気取りの神がいまして、その神が「アートの神髄は大噴火によってなる」とか訳の分からないことを口走り、あろうことか火山を噴火させてしまいましたの。まぁ幸い、神託によって住民は避難。被害は埋もれた町だけで留まりましたわ」

 前言撤回。驚きの真実。でもそしたら


 「じゃぁこの石像は?」

 教科書の生きたまま石像になってしまった住民を指さして聞いてみる。すると


 「その芸術家気取りの神が作ったものですわ。もちろん人間ではありません」

 歴史って何なんだろうな。まぁ無事で何よりです。


お昼休み

 「妹ちゃーんご飯食べよー」

 クラスの女子が赤髪ツインテをお昼に誘う。クラスでの赤髪ツインテの呼び名は「妹ちゃん」になったようだ。妹じゃねーし。


 「ぐぅぅうらやましい」

 それを見て羨ましがるクラスの男子。幸いにもこのクラスには積極的になれる男子はいなかった。


 「ご飯?この時間はご飯を食べる時間ですの?」

 「そうだよー。妹ちゃんご飯は?」

 「持ってきてないですの」

 そう言えば赤髪ツインテには学校がどんなところか伝える暇もなかったからな。そう思うとよく午前中は真面目に授業を受けてくれたものだ。


 「それじゃぁ私のお弁当分けてあげるぅ」

 「私もー」

 どうやらお弁当のおかずを分けて貰えることになったようだ。購買もあるがお金を持っていないだろうから良かった。


 「神への献上ですの?ご苦労ですの」

 赤髪ツインテには言葉遣いを教えなければならないな。周囲から人がいなくなるぞ。


 「妹ちゃん可愛いー」

 「神ですってー。献上しちゃうー」

 どうやら暫くは安泰だな。


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