そのじゅう
学校に着いた。
下足箱の扉を開いて上履きを取ろうとすると中に手紙が何通か入っている。
またか
手紙をカバンに放り込んで上履きに履き替える。
「今日は何通だった?」
「5」
「モテモテだな」
「男にこんなのを出すヤツの気が知れない」
君が男でもかまわないとか、そんな事が書いてあるのだ どうせ
人の背が低くて童顔だからっておちょくっているのに違いない。
あるいは罰ゲームとかかもしれない。
だとしたら気の毒に思わなくも無いがどうしようもない。
ゼンジとはクラスが違うのでわかれて自分の教室1-Dにはいる
ゼンジは隣だ C組
「明ちゃん今日もラブレターたくさん貰った?」
声をかけてくる女子生徒がいる 鈴木絵里だ。
肩までの栗色の髪を揺らして笑いかけてくる。
「明ちゃんにはもう決まった人がいるから無駄なのにね?」
極上の笑みで意味不明なことを言う。
いませんよ?!誰の事?
「いつも一緒に通学してくるじゃない ほら」
「ゼンジは幼馴染だよ!しかも男だよ!!男同士だよ!!」
「それが何か問題でも?」
「結構あるよね?普通あるよね?」
何か残念な事を言ってくる。
コレがなければこの人も結構もててるはずなんだけどねえ
「おはよう小泉 今日も性別間違ってるな!」
後ろの席の高橋進一も声をかけてくる こいつの挨拶もおかしい。
そう言うと高橋は眼鏡を光らせて言う。
「皆そう思っているぞ?」
ニヤリと笑う。 え?そんな事ないよね? こんなナイスガイに?
教室を見回すと皆目をそらす。 くっ!
「こっそり胸とか育てても誰も不思議に思わないよ ねっ!」
絵里が後からボクのの胸をぎゅっとつかむ そこはっ!!
「痛っっ!!!」
あまりの痛さに手を振り払ってしゃがみこむジンジンとした痛みで立っていられない。
「え?え?明ちゃん?どうしたの!!」
「おい!小泉!! 保健室連れて行こう!!!」
ガラッ!いきなり教室の扉が開く ゼンジ?
身体が浮き上がる 抱き上げられたようだ。
そのまま保健室に連れて行かれる。
大丈夫だから、降ろして。 そう言おうとしているのに声が出ない。
ベッドに寝させられる頃には痛みは治まってきたので起きようとすると止められる。絵里も泣きそうな顔をしているので困る。
「どうした?」
保険の田中先生が聞いてくる。返事に困っていると
「あ、あたしが胸に触ったら、く、苦しみだして!!」
触ったというかつかんだよね?
「今は痛みは?」
「治まってきてます」
「とりあえず上着脱いでね?」
先生が上着を脱がす。みんながいるのはちょっと嫌だ。
そう先生に言うと皆を保健室の外に出してくれた。教室に戻るようにいってくれたようだ。
ブレザーを脱ぐ。
気のせいだと思うが朝よりもシャツが押し上げられているような気がする。
気のせいだ。そうに違いない。
「小泉君って男の子だよね?」
「はい」
「それにしては・・・・・・骨格が? それになんか胸も?」
ここここ骨格?
「シャツも脱いでみて?」
「は、はい」
手が震える。ボタンがうまくはずせない。
「手伝う?」
「だ、大丈夫です」
シャツを脱ぐ。その下の胸が 胸が
胸が朝よりも膨らんでいた。
「~~~~~~~~~~」
目の前が真っ暗になった。
真っ暗になると言うのは比喩的な表現だと思っていたのだが本当に暗くなった。
あ、気絶するのか
暗転
その瞬間、ボクは ここが保健室でよかったなあ などと思っていた。




