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ラボラトリー

暗い廊下に漏れた一滴ひとしずくの明かり

無菌室の扉が秘密をそっと耳打ちする

実験器具は散乱し

フラスコの中でマウスの胎児は培養される

知能なき発達途上の小さな生き物

閉じた瞼の裏

ソレは全知全能の神と等しい眼差しで

この世界を知覚する

ドーム型の白い天井

歪んだ白衣の男女たち

銀色の小魚のように鋭く光るメス

脱脂綿に浸み込んだアルコールが気化する音にさえ

ソレは敏感に破滅の匂いを嗅ぎとる

硝子瓶に詰まる薬剤

原色の禍々しさで

市松模様の白い床

ステンドグラスのような影を映す

空気は半透明な寒天質になり

酸素はジェリーのように肺を満たす

凝固する世界に閉じ込められ

脳に組み込まれた本能と言う電子チップが

ソレの存在証明の価値を繰り返す

白衣の者達は祈る

己らが敬愛する科学の神に


ああ 神よ 哀れな生き物は天に召されました

残された我々に科学の指標を!


プレートの上 

切り取られた命の破片かけら

覗く顕微鏡の窓

未知を示唆する

細胞は原始の微生物の記憶を手繰り寄せ

複製されるDNAは二重螺旋の分裂を繰り返す

無意味な命に意味を与えるのは

進化の集大成と傲り高ぶる彼らの役目

未知を既知に変える科学が

神の領域を踏み荒す

彼らは愚かなるアダムとイブの末裔

禁断の実に魅せられた者たち

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