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Justice
怯えた鼠が歩いて行くよ
広場を埋め尽くす群衆は獲物を狙う猫のよう
鎖に引かれた囚人の死の行進を見守っているのさ
首切り役人が斧を構えて待っている
死刑台へと続く階段はいつの世も十三段
飢えた民は他人の流す血に狂喜する
死神も真っ青な残忍極まりない普通の人間が
拳を空に突き立てて叫ぶ
"殺せ"
彼が盗んだのは
富を貪る商人の朝食代にも満たない僅かな金
法は民を守るより
見せしめを必要としている・・・いつの時代も
彼は憐れなスケープゴート
神は迷える子羊に救いの手を差し伸べない
囚人は神に祈っただろう
"悔い改めます"
不吉な十三段目の壇上で
斧は無情にも振り下ろされる
刎ねられた首は無機物の重さで転がり
血飛沫は太陽を溶かしたように赤い
観衆は残酷な見世物に拍手喝采を送る
これが正義だ