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Teen Age~ノスタルジア~
車を降りて
海の匂いを胸一杯に吸い込む
夏の熟れた風に
白いワンピースが翻る
何年も訪れていなかったのに
まるでずっと住んでいたような顔で
戻って来られる
変わらない景色が今もある
時の流れは
私を少しだけ大人に変えた
あれから四年の歳月が流れたんだね
離れて歩く君の背も
いつの間にか私を追い抜いている
二度と帰って来ない人達と
もう戻れない夏の日々
テトラポットに打ち寄せる波は
誰を乞う呼び声
胸の奥の子供の私が
潮騒の中で目を覚ます
ヒールのある黒いサンダル
放り投げて海へと駆け出せば
素足の下で焼けた砂が
僅かに軋む音がする
波の飛沫を浴びてはしゃぐ私を
子供だと言って君は笑顔を覗かせた
あの頃と同じ子犬のような瞳
子供から少年へ
成長して逞しくなった君が
少し大人に見えて・・・
失われた多くのものとの距離を感じた
ノスタルジー
懐かしく少し切ない夏が
静かに終わろうとしている