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死者の書
時の番人の裏と表の二つの顔
宣告を告げる厳かな声
意地悪な誰かがカードをすり替えたように
生まれ死にゆく哀れな囚人
空をごらん
鳥たちは青いセロファンにピンで止められ
壊れた自動鳴琴の調べで夢を語る
ほら 世界を回す歯車だ
夜が明ける音がする
銅板の太陽と鋼の月が空の階で交わる時
天空に仕掛けられた大時計の針は
世界を動かす為に回転し
昨日の続きの明日を呼び覚ます
嘆きの森で蔓に埋もれた石膏の動物
かくれんぼは終わりだと死神が鎌を研ぐ
全ての始まりと終わりを載せて回る天球儀
パピルスに記された死者の書の道標
見てごらん
空っぽの鉄の鳥籠に残された一片の羽を
でも決して触れてはいけないよ
魔法使いが曲がった爪の先で指さすそれは
脆くて傷付きやすい僕の心臓・・・
握り締めたダイスを使えと誰かが囁く
コインの裏表を司るのは
運と言う名の残酷な女神