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人生劇場
粗末な舞台で演じられる誰かの一生
(人生 それすなわち喜劇)
スポットライトを浴びた道化に
惜しみない拍手を
観客席の視線なんか気付いちゃいない
小さな世界で起こる出来事が
ソレにとっての全てだ
この世に生まれ 恋をし
年老いて そして死んでいく
自分が存在する意味も知らずに
ソレは台本通りの人生を送る
希望と絶望 栄光と挫折 快楽と苦痛
全ては台本に描かれた架空の真実
幕が閉じればそれまでの夢物語
それでも人は足掻き 夢を見る
自分が一介の喜劇役者だとも
その他大勢の一人だとも知らずに
人生に翻弄される役者たち
舞台の上で懸命に生きている
劇が終わり幕が引かれる
拍手喝采の鳴り響く中
スポットライトの消えた舞台で
道化は何を思うのだろう