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Cosmos
宇宙の歪みに落ちた僕らの夢が
理化学用語的ビックバンを繰り返し
無尽蔵の命の源となる
風が吹けば林檎は落ちるだろう
ニュートンほどの確かさで
流星は青い光彩を放ち
満月の潮の満ち引きを狂わせるだろう
見えないものは形を持たず
不思議は認識された途端不思議となる
湖に投げ入れた小石は波紋を描き
遠い宇宙の彼方で100万の太陽が燃え尽きる
ビーカーの中の人工心臓が
一定の速度で腐食するのはつまり
時間の感覚における僕らの概念が
永久の中でこそ重みを得るからだ
過去の過ちは液体窒素の海に溶け
崩れた珊瑚の城壁は
漂白された頭蓋骨の脆さで僕を埋めるだろう
葬送の鐘が鳴る
黒い影を引きずった人々が
棺を過去の隙間に押し込め
墓石に忘却を刻み込む
孤独なる死者は生者の血肉を糧に
宇宙の歪みに別れを告げる