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お市の天下  作者: 女々しい男
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奥州平定

南部家は大いに揺れていた。南部家は複数の家から成り立っており、当主である晴政の意向だけでは、物事が進まなかったのである

晴政の叔父にあたる石川高信は親織田を掲げ、実子であり晴政の養子となっていた信直も織田に下るべきだと主張していた

晴政は丁度、実の子が生まれたばかりであり、石川家が邪魔な存在となっていた

そこで津軽に勢力を保っていた大浦為信を使い、石川城を攻略させて石川高信を敗死させると、家中の親信長派を駆逐しようと兵を出した

これにより南部領は内乱の様相を強く出すようになる

後ろ盾を失った南部信直は南部領を密かに脱出し、織田のお市に助けを求めた

信直の要請を聞き入れた、お市率いる織田軍は南部領に侵攻し、反織田派を尽く根切りにした

その光景を目の当たりにした、大浦為信はいち早く、家中の反織田派を粛清して、織田に臣下の礼をとった

晴政はあまりの苛烈さに降伏の使者を出したが間に合わず、一族郎党根絶やしとなる

南部領は大幅に減封されたが信直が南部家の家督を継ぐ事と家名存続は許された

これにより東北奥州は完全に織田家の支配する領地となった

そんな時に猿が俺の元にやって来た

「姫様、手際が良すぎるぎゃ・・・」

そう言って肩を落としている猿

「んっ?なに?あんた何しに来たの?」

俺は梵天丸に乳をあげながら話し出す

「えっ!いつの間に赤子など作ったのですか!」

猿は俺の抱く赤子を見てそう叫ぶ

「あっこの子?伊達輝宗の嫡男で梵天丸って言うのよ。もらったの」

猿は驚きを隠せぬままに叫ぶ

「もらったぁ!でもって姫に乳など出るのですか!子が出来ねば乳などでないでにゃぁか!」

そう叫ぶ猿

「それがねぇ、なんか出るのよ。それに違う人に乳あげさせたら、乳首噛み千切ろうとするのよこの子・・・」

そう言って俺の胸にしがみつく梵天丸を見ていた

「なんて、うらやまっ、いやいやそういう事ではなく!まっ子の事は良いです!上様からの文が半分以上、意味のない物になったでにゃですか!」

顔を真っ赤にして怒鳴る猿

「煩い!梵天丸が泣き出したら・・・しばくぞ猿」

「・・・・・・」

猿は直ぐに大人しくなる、さすがだよあんた

「どうせ、おとなしく織田に降れっていう文でしょ?」

「・・・・・・」

猿は喋らずに頭を上下に動かしていた

「そのくらいは口で喋ればいいじゃない、声を小さくね・・・」

「はい、姫のおっしゃる通りだかや」

小声で喋る猿

「いいのよ、逆らう者の選別と掃除も兼ねてたからいらないわ」

「姫はそういうところがめっちゃ怖いぎゃ・・・」

猿は顔を青くして震えるように話す

「民を家畜か何かと勘違いしてるような武士などいらないわ・・・潰すだけよ」

俺は顔をにやけさせる

それを見た猿は震えながら

「魔王を俺は見たぎゃ・・・」

とぶつぶつと言い出していた


俺は兵を纏めて南下し、相馬領に差し掛かった時に伝令が走って俺の前に来た

「相馬領内にて大規模な一揆が勃発、一揆勢は織田の家紋に似た物を掲げて各城を攻撃しております!」

「なっ!」

俺は驚きと共に軍を進めながら、一揆を主導している人物を俺の前に連れて来いと兵に伝える。

すると直ぐに薄汚れた男を俺の前に連れてきた

男は直ぐに土下座して頭を下げた

「おらのようなもんが、織田の姫様に会えるとは恐れ多いべぇ・・・」

そう言いながら震えている男の前に行き、俺はしゃがみこんで頭を上げさせる

「なっ!おっおらと同じ目線になんてそんな恐れ多いですだ!」

男はまた勢いよく頭を下げるとその拍子に地面にあった石に額をぶつけ血が出ていた

俺は懐から布を取り出すと血の出ている額にその布を当てる

「なっもったいねぇだ!もったいねぇ!」

そう言って拒もうとする男

「黙りなさい!血が出てます!これで血を止めなさい。それとそんなに卑屈になっちゃだめよ。あなたもあたしも人なのだから」

そう言って微笑むと男は呆気にとられたような顔をしていた

「どうして一揆なんて起こしたの?」

そう問いかけると男は力強い目をして俺を見る

「おらたちも織田様の力になりたかっただ!」

「・・・・・・」

俺は思わず涙ぐんでいた

「おらたちのような民百姓を大切にする織田様は、おらたちの希望だ。おらたちも役に立ちたかっただ!」

「そう、でもねもう大丈夫。もうすぐ笑顔で田を耕し、子を安心して育てられる世が来るから、だからあなたたちは大人しく家に戻りなさい。血を流し弱い民を守るのが武士の役目なの。あたしたちの役割を取られちゃったら、あたしたち肩身が狭くなるわ」

そう言って微笑むと男は納得したように頷いて話し出す

「あとは姫様に任せるだ」

「ありがとう、あなたたちの気持ちは受け継いでいくわ」

男は俺の前から去っていった

それから一揆は収まり、相馬家の反織田派は織田軍全て捉えられて、一族郎党根切りにされた

その後北条から伝令が来て佐竹、里見を滅ぼしたとの報告が入る

これによりお市が率いた織田軍により東北奥州平定は完了した

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