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お市の天下  作者: 女々しい男
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尼子と毛利

東国の仕置きが一段落して暫しの休息を取っていたそんな時

西国から使者が来る

「尼子義久殿からの使者が起こしに御座います」

菊が俺の部屋に居た信長に声をかける

「尼子のう、毛利に押されて泣きついてきたか。まぁ良い会おう、市!お前も来るか?」

俺を見る信長

「そうですね、西国に覇を唱えていた尼子ですからね。今は落日も間際のようですが、話を聞くのも良いでしょう。場合によっては西国への大儀も得られるかもしれませんしね」

俺は扇を口元に当てる

「今度は西国に首を突っ込むつもりか?」

「出したくて出してる訳では御座いませんよ、全ては乱世を終わらせる為です」

「分かっておる、戯言じゃ・・・はっはっはっ」


「尼子からの使者とはその方か?」

信長は下座に土下座して頭を下げている男を見て話しかける

「はっ!尼子義久が家臣、宇山久兼と申します!執権織田右近衛大将信長様にお目通り出来、恐悦至極に御座います」

久兼は深々と頭を下げたまま口上する

「そのように畏まらずとも良い、表をあげよ、して要件は何じゃ?」

信長は胡坐をかいて、膝の上に肘を置いて、手で頬を押さえた姿で会見していた

なんと不遜な!しかし尼子の命運は目の前に居るこの男にかかっておる。

覚悟を決めた男が信長を真正面に見据えて話し出す

「今、尼子は毛利の侵攻により、苦境に立たされておりまする。出雲は幕府より尼子が守護職を頂いている国に御座いますれば、執権様のお力をお借りしたく、まかりこしまして御座います!なにとぞ尼子をお救い下され!」

深々と頭を下げる久兼

「お前は何を申しておる、寝言は寝て言うものぞ?」

信長は呆れた様な顔をして久兼に話す

「はっ?」

久兼は自分が何か間違った事を言ってしまったのか、どうなのか、分からずに呆けてしまう

「お主、何か勘違いしておるな、何故わしが尼子を助けねばならん?守護?幕府?誰が任命したのじゃ?」

そう言って久兼を強い視線で見る信長

久兼は体が硬直したかの様に動けなくなる

「臣従すると言うならまだしも助けろじゃと、お主!織田を舐めておるのか!」

「そっそのような事は・・・」

しどろもどろになりながら久兼は答える

「今は乱世ぞっ!そのような肩書きが通用する時代と思ったか!そのような肩書きで生きていけるほど、この世は甘くは無いわ!」

「・・・・・・」

完全に信長に飲まれてしまっている久兼は何も言えなくなる

「臣従か!潰されたいか!選べ!」

信長は完全に切れていた、そこに俺は助け舟を出す

「兄様、そのような大事な事を一家臣が決めることなど出来ますまい。私が出雲に行き、話をしてきましょう」

こうして俺は出雲に行く事になったそんな頃


安芸にある毛利の本拠地である吉田郡山城の一室で四人の男が話しあっていた

「父上、尼子が織田に泣きつきに行ったようですぞ」

隆景は父である元就にそう告げる

「織田などたいしたことも無かろう、泣きついた所で尼子の命運は終わっておるわ!」

元春は強気な発言をしていた

「これはまずい事になるやもしれませぬな・・・」

隆元は懸念の色を強くしていた

「元春、お前の武は、わしも及ばぬほど強いのは分かっておる。しかしな・・・織田には勝てん」

元就は弱い声でそう話し出す

「やってみなければわからぬではないですか!」

「馬鹿め、やってみなければわからぬようでは国が滅ぶわ!今の織田の力わからぬか!この西国の戦など、織田から見れば小競り合いじゃ!どれほどの国力の差があると思うてか!国力だけではない、人材も綺羅星のごとくおる!斉藤、今川、三好、本願寺、朝倉、武田、北条までもが破れまた下ったのだぞ!」

元就は興奮して息切れを起こすほどに話を進める

「父上、お歳なのですからそのように興奮なさりますな」

「歳の事などいうな隆景、おぬしはどう思うのじゃ」

「間違いなく、織田は西国に干渉してきましょうな」

「おぬしもそう思うか、隆元はどう思う」

「隆景の申すとおりでしょう、そして動くとすれば・・・」

そう言って元就を見る隆元

「女宰相お市様か・・・」

「はい、あの女が動くでしょう」

「我の智謀でなんとかなる御仁ではないな・・・」

「父上がそのように仰せになるなど経久殿以来ですな」

隆元と隆景二人で元就を面白そうに見て、元春は苦虫を噛んだ様な顔をしていた

「消しますか・・・?」

隆景はにやりとした顔で元就を見る

「お主もまだまだよのう、毛利が滅ぶわ・・・いや毛利の一族、全て根絶やしにされるぞ!」

「大げさで御座りまするな」

そう言って顔を引きつらせる隆景

「大げさではなかろう、信長の狂気を抑えておるのはあの女子だろう。それを無くせば、織田は分裂するだろうが、手を出した毛利は間違いなく、根絶やしにされる」

隆元は真剣な顔をして話す

「消すならば二人一緒に消さねばならん・・・」

元就は静かに呟いていた

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