官兵衛
信長は長政等を連れて、越前朝倉攻めを行い、一月もせずに朝倉を滅ぼして、そのまま加賀に侵攻、加賀を実質治めていた本願寺門徒と交渉し、加賀も織田の支配地となったそんな頃、俺は岐阜から半兵衛を呼び出していた
「姫様、お呼びと聞きまかりこしまして御座います」
「わざわざ来てもらって申し訳ないわね」
茶室で茶を立てていた俺は手を止めて半兵衛を見る
「いえ、姫様のお呼びとあらば、この半兵衛、地獄まで行きまする」
「まっ大げさね、まっ地獄じゃないけども行って貰いたい所があるのよ」
そういって茶を立て終わる俺
「播磨にございまするか?」
「さすが半兵衛ね、もう読めてるのかしら?」
そういって俺は茶を半兵衛に渡す
「播磨は小さな豪族が割拠しておりますれば、中々面倒に御座いまする、そこを纏めたいと思ってらっしゃるのではと思った次第」
そういって俺の出した茶に手を添えて飲もうとする半兵衛
「当たりよ、入ってらっしゃい!紹介するわ、播磨の小寺家に仕える小寺官兵衛孝高殿よ」
そういって俺は官兵衛を中に入れる
「お初にお目にかかる、小寺官兵衛孝高に御座います」
深々と頭を下げる官兵衛、俺は茶を立てて官兵衛にも茶を渡す
「竹中半兵衛重治に御座います」
そう言って官兵衛を見る半兵衛
「丁度、播磨に対してどうしようかって思ってる所に、この官兵衛が来てくれたのよ、旨く扱える人材は誰かいないかしらって思ったら貴方が浮かんだのよ」
そう言って半兵衛が飲んだ茶碗を取る俺
「姫様に思われるほどの力がこの半兵衛にあるでしょうか?」
そう言いながら俺を見る半兵衛
「思ってもいないことは言わないほうがいいわよ、半兵衛、嫌味に聞こえるから・・・フフフッ」
俺はそう言いながら笑う
「また誤解を生むような事を仰せになる、変わりませぬな姫様は」
そう言って微笑む半兵衛
「あたしは武田の仕置きで動けないのよ、だから貴方達二人で播磨を纏めなさい、出来るかしら?」
「「御意!」」
その言葉を聞いてから俺は官兵衛に伝える
「官兵衛、貴方の上役である小寺の殿は捨てなさい、彼は貴方の重荷になるわよ」
「えっ!」
官兵衛は驚いたような顔をして俺を見る
「彼は優柔不断よ、貴方達がすることを邪魔する可能性があるわ」
そう言って官兵衛を見る俺
「しかし、殿にはご恩が御座いますれば・・・」
少し下を向き話す官兵衛
「あんたの意地や見栄で民が泣くのなら、あたしはあんたも潰すわよ」
「・・・・・・」
「あんたの罪もあたしが背負ってあげる!だから意地や見栄は捨てなさい!織田は裏切りを許さないわよ」
「肝に銘じておきまする」
そして二人は播磨へと向かっていった
「姫様、信玄が義信を殺したがや!」
猿は慌てたようにして俺に伝える
「そっ、信玄も辛かったでしょうね・・・」
自国の民の為に決断した信玄を俺は思っていた、彼はこの乱世の犠牲者だと俺は思っているからだ
「家中は揺れ動いているだがや!」
「収まる前に駿河に侵攻するか、治めてから侵攻するかで武田の命運は分かれるわね」
そういって俺は立ち上がる
「姫、動くのきゃ?」
「岐阜に行くわ、付いてきなさい猿、犬、熊」
そういって俺は岐阜に向かうと途中で、またもや鴉が居て
「姫さん、連れないねぇ」
「またいたの、どこで情報が漏れてるのかしら?」
そう言いながら俺は首を傾げると
「俺は鴉だぜぇ、どこでも姫さんの近くに居るよ」
そう言いながら横を歩く
「あたしの屍を突くつもりかしら?」
「そんなことしないさ、姫さんには期待してるんだからよぉ」
そう言って頭をかく鴉
「ほんと、雑賀は大丈夫なの?そんなんで・・・」
「いいんだよ!それにうちらも役に立つんだぜ!」
そう言いながら鼻をかく鴉
「まっいいわ、場合によっては雑賀衆にも手伝ってもらうわよ!」
「まかせときな!姫さん」
そうして俺たちは岐阜に向かっていた