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お市の天下  作者: 女々しい男
38/62

苦悩

「市、困った事が起こった・・・」

信長が部屋に来ていきなり俺にそう告げる

「んっ?どうしたのですか?兄様?戦ですか?」

俺は首を傾げながら信長と話す

「それがのう、奇妙丸が市と生活したいというのじゃ」

なんとも困った顔で話す信長

「何故、私なのです!奇妙丸は兄様の嫡男で跡取りでしょうが!」

思わず、びっくりして信長に意見する俺

「それがのう、市の所におる鶴千代に焼きもちを焼いてるようでな、市叔母様は奇妙のものだといいおってな、言うことを聞かんのじゃ」

なんですかそれ!俺、ものじゃねぇし!

「それでどうしたんです?まさか・・・」

俺は恐る恐る信長の後ろからチョロチョロ頭を出し入れする小さな幼児を見つけた

「着いて来ているのじゃ、ほれ自分で市に言ってみよ!」

信長は後ろに隠れていた奇妙丸を俺の前に出して来た

「市叔母様、鶴千代ばかり相手にしないで、僕の相手もしてください!僕の事嫌いになったのですか?」

目に涙を浮かべ、遊んでくれとせがむ甥っ子

「嫌いになったりする訳ないでしょ?ただ奇妙は兄様の後を継がなければならないでしょ?だからそれ相応の環境で暮らさないとならないのよ」

「嫌です!それなら父上の後を継ぎませぬ!」

なんてわがままな!まっ信長の子ならば納得ではあるけど!

「とっ言うわけで、すまぬが暫く一緒にいてやってくれ、頼んだぞ!」

信長はそう言って逃げていった

信長め!戦と同じでやばくなったらすぐ逃げるな!チッ

「仕方ないわね、奇妙こっちにおいで」

「はい!市叔母様!」

そういって俺に抱きつく奇妙

こうして奇妙も俺と暮らす事になっていた


北近江にある浅井の居城、小谷城の一室で二人の男が話をしていた

「如何にすべきか・・・」

「決まっております、織田に逆らう事など、お家を滅ぼすだけに御座います!」

長政の問いに答える直経

「わかっておる、しかし朝倉や公方様からの文にて父上が動いておる」

「・・・・・・」

「遅かれ早かれ、織田は朝倉を攻める!そして浅井にも朝倉攻めの協力を要請するだろうな」

「しかし世論は織田に味方しております、この数年の間に織田は広大な領地を治め、善政をひき、民の指示を得て、官位、役職全てにおいて他の大名とは比べ物になりませぬ!天下はすでに織田の物と言ってもよいほどで御座います!朝倉攻めはお受けするほか御座いませぬ!」

「家中が割れるな・・・」

「お館様、ここは非情にならねば、浅井は滅びまするぞ!」

「暫し考えさせてくれ、直経・・・」

「情に流されぬ、よきご判断を期待いたしております!」

如何にすべきか、義兄上やお市様を敵に回したくはない

しかし朝倉には多大なる恩がある、如何にすべきか

決断の時は刻一刻と長政に迫っていた


甲斐の武田では躑躅ヶ崎館にて信玄が家中の者を前に評議を行っていた

「力の衰えた今川とは縁を切り、待望の海を手に入れる為、駿河に侵攻致す!」

信玄は家中の前でそう宣言していた

「お待ちくださいませ!父上、今川との盟を破れば北条が黙ってはおりません!信義に劣る行いよりも、公方様より織田討伐の御内書がきておりますれば、織田を討つのが良いかと某は思いまする!」

義信は信玄に反対の意思表示と言葉を向ける

「戯けめ!今の織田の力、甘く見るでないわ!如何に精強な武田の兵と言えども甲斐、信濃、上野の一部しか押さえておらぬ、わし等では織田に対抗などできん!それよりも海を押さえ、逆に織田と仲良くして北条や長尾を落とすほうが武田の未来はある!」

「何と弱気な、父上はお年を召されすぎたのではないですか?甲斐の虎と恐れられた父上が嘆かわしい・・・」

「なんじゃと!義信!おぬしは下がれ!自宅にて蟄居謹慎致しておれ!」

何故わからん義信!このままでは、われはお主を消さねばならなくなる事を・・・

こうして義信と信玄の中は急速に冷えていく事になる

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