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お市の天下  作者: 女々しい男
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公方の浅知恵

信長め!予のやろうとする事を尽く反対し拒否をしよる

予は将軍ぞ!上洛させた数多の大名の前で、予は存在すら消されているかのような扱いじゃった。忌々しい!

それにあの美しい姫も石山本願寺を焼き尽くす非道振り、中身は夜叉か鬼じゃった

嫁にしなくて本当に良かったわ!嫁にしていれば、予は食い尽くされておっただろう。まっ味わうだけなら抱いてやっても良いがのう・・・フフフッ

予の徳が回避させたのであろう。なんといっても武家の棟梁である将軍なのじゃから!

じゃが忌々しい、織田の手の内にいる以上どうにもならん!

ここは名門である越前の朝倉や甲斐の武田に何とかしてもらいたいものじゃが・・・

甲斐の武田は遠いが、朝倉は織田に敵意を持っているようだし、浅井も朝倉には逆らわないじゃろう!

今は力が衰えてしまっているが名門でもある丹後の一色、若狭の武田それに名門ではないが、丹波の波多野もいれてやるかの

奴らを朝倉に付く様にして、京の延暦寺や大和の興福寺を決起させれば、織田など恐れるに足らぬわ

甲斐の武田に織田の領内にちょっかいかけさせるのもありじゃのう!

しかし本願寺が織田に下るとは見損なったわ。あれほどの威勢を誇った本願寺が、民とやらの為にと抜かしおって

予の治世があれば、民など勝手についてくるわ!見る目のない奴らじゃ!

そうと決まれば話が早いわ。すぐに文を出して動いてもらうか!

予は表にはまだ出れないから、秘密裏に行わねばならん。誰を使うか?

明智は信長の手先じゃ使えるわけもない。藤孝がよいな!

「おい、藤孝を呼べ!

「はっ!」

暫く待つと藤孝が予の前に座り込み、頭を下げる

「公方様、お呼びと聞き参上仕りました」

「ようきたな、藤孝!お主にしてもらいたいことがある!」

「何でございましょう?公方様の依頼とは緊張いたしますな」

この馬鹿公方が何をする気だ?そんな思惑は表に出さず神妙な顔をして話す藤孝

「この文を用いて越前の朝倉を中心に南近江の浅井、丹波の波多野、丹後の一色、若狭の武田を反織田にしてしまえ!」

「なっ!」

「それだけではないぞぉ!甲斐の武田にも織田に攻め入れと申し伝えよ!京の延暦寺や大和の興福寺も同様に騒げとな!」

「公方様それはなりませぬ!そのようなことをなされば、折角落ち着きを取り戻し始めた近畿が戦乱の渦に巻き込まれまする!なにとぞご再考を!」

「予はもう我慢がならんのじゃ!予は将軍ぞ!天下は予のものぞ!いいからやるのじゃ!よいな!」

「公方様のお気持ち、この藤孝痛いほどわかりました。しかしまだ時がきておりませぬ、今しばらくはご辛抱願います」

「ふむ、少しだけじゃぞ!長くは待てんぞ!」

「・・・御意」

時間は稼いだが、どうすればよい!これは明智殿に相談するしかあるまい


「お市様、明智殿がいらっしゃいました」

鶴が俺に来客を告げる

「十兵衛久しぶりだね、我侭公方の相手は大変でしょ?」

俺は笑いながら十兵衛に話しかける

「その公方様がなにやら不穏なご様子で・・・」

「なに?各地の大名に反織田になれって文でも出した?」

「なっ!」

驚愕して驚く十兵衛、それを見て微笑む俺

「どうせ朝倉辺りを中心に織田を排除しろって言ってるんでしょ?」

「なぜ!お分かりになったのですか?忍びですか!」

「忍びなんて使ってないよ、ただ予想しただけよ。そろそろ我侭公方の我慢の限界なのでしょうね、まっもったほうかしら?」

「如何なさいますか?」

「んっ?出させなさいその文」

「へっ?」

十兵衛は呆気に取られた顔をする

「炙り出して始末する手間が省けるわ、それに公方の口車に乗るような仲間は要らないわ」

「・・・・・・」

「どうせ朝倉は潰しとかなきゃいけないし、ついでに全部相手するわ」

「恐ろしいお方だ・・・」

「反意する前に説得には行くけどね。反意してからは説得などしないわ、潰すだけよ」

「では文は直ぐに送らせますか?」

「出来るだけ遅く出させなさい、こちらの準備もあるしね。我侭公方が暴発するのも見ものだわ、これが終われば近畿は完全に落ち着くわよ・・・ふふふっ」

「姫だけは敵に回したくは御座いませんな・・・はははっ」

「我侭公方はこの乱世を引き起こした応仁の争いを理解して、反省していないわね。同じことをしようとしてる、それがあたしには我慢ならないわ!」

あんな奴がいるから乱世が終わらない、俺は手のひらを強く握り締めていた


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