上洛の道
覚慶が還俗し、名を足利義秋と名乗ることになった
足利義秋が将軍職を就任するために上洛を信長に依頼、信長は上洛する道中の各大名に要請を出して、支持を要請していた
「信長がこれほど早く動くとはな。ここは一つ策を考えねばなるまい」
茶室の中で茶を入れながら呟く男がいた名を松永弾正久秀
三好家の力を背景に久秀は秘密裏、南近江六角、伊賀三上忍、大和各寺社を味方につけて上洛の阻止を仕掛けようとしていた
「姫様、どうやら南近江、伊賀、大和の様子がおかしいぎゃ」
俺は猿から情報をいつもの格好で聞いていた
「茶器狂いがなんか動いてるのかしら?」
そう言いながら俺は雉麻呂に話しかけた
「そうでおじゃるな、奴ならそのような手使うじゃろうのう」
雉麻呂は笏を弄りながら俺に答えるが視線は俺の胸元に釘付けだ
「そういえば雉麻呂、前にあいつ焚きつけたのよね?あなたは茶器狂いをどう思うの?」
「そうでおじゃるが、あの時は奴にもそうせざる終えない事情もあったのでおじゃる。炊きつけなくとも何時かやっていたと思うでおじゃる。麻呂はその時期を指定しただけでおじゃる。そして今回もそうなのでおじゃろう、あやつは驚くほど頭が良い。そして合理的じゃ、信長殿が欲に溺れたら弾正になるじゃろうのう。そして自分の欲に誠実じゃ、どのような手でも使うでおじゃる。今はこちらに付かせる事は出来ないと思うでおじゃる」
「どうしてかしら?」
「姫がおるからでおじゃる。姫がおる限り、弾正は信長に重用されないと思っておるでおじゃる」
「そうかしら?兄様は近畿内における茶器狂いの価値を認めると思うけど?」
「それだけでおじゃる。いずれ捨てられるのはわかっておるのでおじゃろう。今ならば対抗出来ると考えての策でおじゃろう。まだ三好は力があるでおじゃる。南近江、伊賀、大和がやられて、三好がやられて、三好が力を無くせばこちらに寝返り、そして時機を見て反意するじゃろうのう」
「義元あんたやっぱすごいわ」
さすが義元あんたやっぱ半端ないわ、俺良く勝てたよ本当に信じられん。でも変態だからなこいつ
「姫にそんなことを言われると歯痒いでおじゃる。それに麻呂は義元などしらないでおじゃる。姫だけに仕える雉出雉麻呂でおじゃる。それで姫はどうするでおじゃるか?」
「兄様次第じゃないかしら?あたしは兄様についていくだけだから!」
「それなら麻呂も姫に付いて行くだけでおじゃる!」
「頼りにしてるわ雉麻呂」
「御意でおじゃる!」
どれだけ凄い事やカッコいい事を言っても、視線は俺の胸元からはずさない。ぶれない男、雉麻呂あんたやっぱ違う意味でもすごいよ!
「兄様どうするの?」
雉麻呂と話した後に信長と話をしに来た俺
「今、六角から義秋上洛の支持をもらったところじゃ。これで都までの道は出来た」
「六角は裏切るわ」
「ふっ市もそう思うか、我もそう思う。上洛途中で反意し、三好と挟み撃ちといったとこか。それに呼応して大和の支持を得た伊賀が、伊勢に侵攻といったところか。義元の二番煎じじゃのう」
さすが信長、お前も見抜いてるんだ。はんぱねぇさすがだよ、あんた達
「じゃ逆手を取って、時間差両面作戦ってどうかしら?」
「おもしろいな、我が本隊を率いて近江から都に向かう。長政には時間差で追い掛けてもらうとしよう。市、お主は少数精鋭の別働隊と家康を率いて、伊勢に来た敵を迎え撃ち、そのまま都に向かえ」
「御意!」
織田信長は岐阜にて上洛の兵を挙げた