表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お市の天下  作者: 女々しい男
23/62

分岐点三

上洛しようとした今川軍は、義元や重臣の多くを田楽狭間で討ち取られ、軍が崩壊し敗走。最前線で戦っていた三河勢は、織田軍に追撃され無かった為、そのまま岡崎城に入り、松平元康は今川家からの独立を宣言

美濃侵攻を企てた武田軍は岩村城を取り囲んでいたが、田楽狭間の一件が伝わると包囲を解き、信濃に退却

美濃尾張で決起した一向宗は、信長の訴えで謝罪し、矛を収めて静かになった

清洲を攻めようとした北畠軍は信長、長政の率いる北近江勢に急襲され、壊滅。そのまま信長は軍を纏め、伊勢に雪崩れ込み、伊勢を制圧

織田家は美濃尾張伊勢三ヵ国を有する大国となった


「姫、麻呂の名前もう少し何とか。ならないでおじゃるか?」

下を向き笏をもじもじと動かして、たまに上目遣いをするお歯黒

「なに、雉出雉麻呂いい名前じゃない・・・プッ」

「今、笑ったでおじゃろ!ひどい、なんという仕打ちじゃ、前田殿もそう思うじゃろ」

「あきらめろ。雉麻呂、もうそれがお主の名前じゃ。姫の元に来た時点で、人とは認識されん。それとわしは犬でよい・・・プッ」

もう涅槃すら体験したのかと思うように、悟りきった顔をした犬が雉麻呂に話しかける

「おぬしら、鬼じゃな!でもなんでこの名前なのじゃ?前の呼び方とかなら、お歯黒なんたらしゃんとか、なんたらしゃんお歯黒とか、つけそうなものでおじゃるが?」

「なに?そっちがよかった?変えよっか?」

「いや!麻呂は雉出雉麻呂で嬉しいでおじゃる・・・シクシク」

そう言いながらうずくまり、熊に頭を撫でられる雉麻呂

「納得するならいちいち言いにくんな!ボケッ!」

「麻呂はもう死んでる!全てにおいて・・・シクシク」

「もうあんたたちと喋るの飽きたから兄様のとこ行って来る!」

「「「ひどっ」」」


「菊、兄様いる?」

「あっお市様。お館様ならお部屋におられまするので、ご案内いたしまする」

「来たか」

「なにしてるの?兄様?」

「三河の竹千代からの文じゃ見るか?」

そういいながら文を渡そうとする信長。それを拒否しながら俺は言う

「手を組みたいって言ってきた?」

「そうじゃどうする?組むか?それとも潰すか?」

「う~ん、会わないとわかんないわ。どうせもう呼びつけてるんでしょ竹千代」

「お前には隠し事はできんな」

苦笑いをしながら俺を見る信長

「でも来るかしら?怖がって来ないかもよ。兄様を怖がってたからねぇ、あの子」

「来なければ潰せばよい」

そういいながら外に出て空を見上げる信長

「忙しくなるぞ、市」

「ここから本番かしら?」

「そうだな。付いて来い市、高みはまだまだ先ぞ」

「兄様の御心のままに」

青く澄み切った空の下、俺たちはそう言って微笑みあった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ