敦盛
俺は相次ぐ、報告を聞きながら完全にお手上げ状態だった
「駿府にて上洛の兵を挙げた今川義元が、兵を増やしながら遠江を通過、三河に入りまして御座います!その数3万!」
「岡崎城より松平元康率いる三河勢が、尾張に侵攻開始。丸根砦に向かっております!丸根砦より援軍要請です!」
「くっ早すぎる!兄様の!兄様の安否は!!!」
俺は落ち着こうとしていたが、信長がいないというのは、こんなに心細いのかと痛感する
「尾張の一向宗門徒が一斉に決起しました!各城より応援要求!」
「なっ!よりにもよって今っ」
「美濃の一向宗門徒も同じく、一斉に決起したとの事!対応に道三様があたられるとの事。美濃は心配するなとの伝言で御座います!」
道三父ちゃん助かる。暫くでいい抑えてくれ
「南信濃方面から武田軍が岐阜に侵攻開始。岩村城に向かっております!竹中重治様より伝言、岩村城にて武田軍を抑えるとの事!」
そんなには長くは持たんな、耐えてくれ半兵衛
「北畠軍、尾張に向かい侵攻開始。この清洲を目指しています!」
くっどうする、ここまですごいのか。お歯黒を完全に舐めてた
さすがは東海道一の弓取りか!伊達じゃないな。ゲームではすぐやられるから弱いと思いすぎた。あの信玄や氏康と渡り合った武将だもんな。どうするか
「今川家より使者が参っております!」
「くっ会わない訳にはいかないでしょうね。広間に通して!」
「今川家臣、井伊直盛と申す。主今川義元様からの要求をお持ちした!」
「私は市よ、当主信長不在の為、臨時でね。今川の使者がなにようです?降伏でもせよと言いにきましたか?」
「これはこれは手厳しい。お市様、あなたが義元様の側室となられるのであれば、尾張、美濃は見逃すとの仰せに御座います。嫌なら美濃尾張と共に無理やりにでも、頂くとの事で御座います」
「この私にそれほどの価値を付けるのですか?破格の条件ですが、この件、暫し考えさせてほしい」
「それほど時間は御座いませぬが、よき返事をお待ちいたしておる」
「すまぬな井伊殿」
「言うべきか迷ったが、お市様を見て、我が子の姿が頭を過ぎった。これから言う事はお役目を背負っている井伊直盛ではなく、一個人の井伊直盛としての忠告じゃ。好きな男と結ばれるのが一番じゃが、この世の中では通用せぬことですぞぉ。これにて御免」
どうするどうすればいい
「姫、姫!姫!!!聞こえておりますか!!!」
犬がキャンキャン耳元で騒いでいた
「どうした犬、なんぞあったか?」
「お館様、明智様共にご無事との事!!!」
「なに!よう知らせてくれた!いつ戻る!」
「今、浅井家に向かっておるとの事ゆえ、すぐには尾張に戻れますまい」
「なっ間に合わぬ」
俺は義元の元に行こうかと、考えたその時にすごい声を出しながら、猿が走ってきた
「姫!姫!来たぎゃ!来たぎゃ!義元が田楽狭間で、僅かな供回りしか連れていない休息をしているぎゃ!!!」
興奮して顔を真っ赤にしながらしゃべる猿
「なっ!皆に伝えよ出陣じゃ!いったん熱田神宮に兵を急ぎ集めよ!急げ!!!」
ありえぬ奇跡が起こった。いやこの状況がお歯黒の慢心を引き出した。俺が撒いた策に掛かったのだ!
「「「承知!!!」」」
猿、犬、熊が急いで伝令に走る
そんな時、後ろに気配を感じ振り向くとそこにはお濃さんがいた
「姉様、鼓をお願いできますか?」
「はい」
「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり一度生を享け、滅せぬもののあるべきか・・・具足を持てぇ!!!」
俺を見守っていてくれ信長、目指すはお歯黒の首ただ一つ!!!




