誕生
意識が戻り、彼は目を開けた。
そこは見慣れぬ部屋だった
(んっ病院じゃないな、自分の部屋でもないな、どこよ此処)
体を動かそうとして動かない、何とか周りを探ろうとするが、どうやら出来ない事をしった
「あうっ(どうなってんだ)」
「あっふっ(えっ言葉っ)」
彼は言葉を発せ無いことにも気づいた
そんな時、甲高い子供の声が聞こえた
「おい、生まれたのか!!!男か女か」
そんな声が彼に聞こえたと思った時には、彼の目の前には彼を覗き込む子供がいた
「元気な女の子でございます、吉法師様」
子供が尋ねた事に答える大人の女性
その時、彼は思う俺のことなのと
そんな彼の思惑を無視したかのように、子供は赤子を抱き上げる
「ほう、ええ面構えじゃこりゃ~別嬪になるわぁ!名はきまったのか?」
吉法師は大人の女性に問いかける
「はい、お館様が市様と名づけられてございます」
大人の女性からそう聞くと吉法師は
「そうか、お市か!よい名じゃ」
そういいながら赤子を高く持ち上げた
「うぇ~ほぁほぁほぁ~んっ(え~俺女なのかよ)」
泣き出した赤子に、大人の女性が吉法師に向かって声をだす
「吉法師様!!!まだ幼い赤子ですから、そんなにしてはなりませぬ。泣いておりますでしょ!!!」
「うっそうじゃのぅ、すまぬあまりにうれしくてな」
赤子を元に戻しながら、吉法師は素直に謝った
「女子でよかった、争わなくてすむっ」
それは市にか聞こえない、小さな小さな声だった