表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10話・「オレと安西さんと大生徒会戦争」

「ずっと気になってたんですけど・・・どうしてSSSとグレート生徒会は仲が悪いんですか?」


「『グレート生徒会とSSS』というより、『融と神藤誠が』、なんだけどね」


 確かに、りささんの言う通り・・・


「融会長はどうして神藤会長を? っていうより、どうして融会長はそんなに鬱陶しいキャラなんですか?」


「鬱陶しいキャラとは心外だぞ光弥くん。我は運命に導かれ、宿命のために生きているだけだ! よしっ、いい機会だ、教えよう! どうして我が世界を救うことを決意したか! そう、あれは我が幼く可愛い赤ん坊のころだ。当時世の中では、西の新大陸発見に沸き上がっていた―――」


「お前は何歳だ」


「話に茶々を入れるな、りさくん。どこまで話したか・・・そうだ、赤ん坊の我がお腹をすかせて泣いていると、目の前に現れたのだ! ムゥチャグヌュプル星人が!」


「「・・・なにソレ?」」


 ついオレも突っ込んでしまった・・・


「なんだとっ! グレート生徒会にいてながらムゥチャグヌュプル星人を知らないのか!」


「・・・ダメだ、こいつ重症ね。病院行っても治らないわよ、この頭は」


 あははは・・・笑えない。


「いやっ、そういうことじゃなくて! 相手の生徒会に勝てば何かあるのかなぁって・・・」


 安西さんの言葉に、2人の会長がピクッって反応した。


「そういうことか安西! なら、とっておきのご褒美があるぞ! このために俺はSSSの会長になったと言っても過言ではない!」


「これを評価する神藤くんの感性は、認めざるを得ないな。3年間学園の運営を頑張った生徒会に贈られる、究極にして最高の――」


「「校長室でいただく、レアチーズケーキ!」」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ。


「チーズケーキ・・・どういうことですか、神藤会長?」


 神藤会長を平静に問いただす栗矢だけど、その声は怒ってる。生嶋も、呆れたようにため息をついた。


「どうした、天美。何かおかしいこと言ったか?」


「融も、チーズケーキってどういうこと?」


 普段穏やかなりささんも、怒りを込めた笑みを浮かべて融会長の肩を叩いた。


「なっ、何を怒っているんだりさくん・・・あのチーズケーキは、代々の会長の間で伝説になっているんだぞ! 口に入れるとすぐ溶ける舌ざわり、チーズの濃厚なまろやかさ・・・あぁ、一度でいいから食べてみたい!」


 ダメだ・・・このバカ会長・・・


「あーバカバカしい。帰りますよ神藤かいちょー」


 生嶋が神藤会長の襟を引っ張る。


「おい、生嶋っ! 人をモルモットみたいな扱い方するな!」


――――スモール神藤・・・


「今日のディナーはフルコースですね。お仕置きABCに特別メニューも加えましょう」


「―――ッ! 安西、早く助けろ!」


「神藤かいちょー終了のお知らせ~♪」


「ぎゃぁあぁぁ! 助けろぉぉぉ!」


 栗矢と生嶋に引っ張られて、神藤会長の声はどんどん小さくなっていく。


 オレと安西さんは呆然としながら、お互いの顔を見つめた。


「・・・いいの? 助けなくて?」


「はい。大丈夫だと思います。あえて助けません♪」


 安西さんは茶目っ気を含んだ笑みでオレにウインクした。


 よかった・・・安西さん、幸せそう・・・


「仲がいいコトで。じゃあ、私たちもそろそろ戻ろうかな。お邪魔なようだし」


 りささんが後ろからオレの肩を叩いて、からかうように笑った。


「なっ! そんなんじゃありませんよっ!」


「はいはい。とりあえず帰ってお説教ね、融?」


「ちょっ、りさくん! どうして我が説教を受けなければならんのだっ! 弁護を求む弁護をっ!」


 りささんは融会長の手をつかんで、強引に帰っていった。


「行っちゃいましたね」


「本当、騒がしい人たち・・・」


「私、とんでもない生徒会に入ってしまったかもしれません」


「でしょ?」


 オレと安西さんは思わず笑いを抑えられなくて、2人そろって笑ってしまった。


「これから、よろしくお願いしますね。前行った通り頼りにしますから、覚悟してください」


「こっちこそ、一緒にピクニック頑張ろう」


「あと、自由行動の時間も」


 ―――えっ! それってどういう意味・・・


 前を見ると安西さんはもういなくて、神藤会長や融会長たちを追いかけてた。



――――ふぅ。



 オレは大きく深呼吸して、みんなのもとへとゆっくり歩き始めた。グレート生徒会とSSSと安西さん。オレに関わる人たちが、みんな小さくなってオレの視界に留まってる。


 安西さんの言う通り、とんでもない生徒会だな・・・


 そう考えると、つい笑みをこぼしてしまう。


 けど、悪い場所じゃないな。


 安西さんも、気に入ってくれたみたいだから。


 さぁて、まずは3学年合同ピクニックですかぁ。またこれからもドタバタ劇が起こると思うと、頭が痛くなるな・・・


 行事はこれからいくらでもあるし、SSSとも対立も・・・


 オレは、まだ安西さんを諦めたわけじゃないぞ!


 これからゆっくり仲良くなって・・・そして、いずれは・・・



 オレは小さな野望をふつふつと燃やしながら、安西さんの後姿を見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ