ある滅亡のお話
私は、社長に呼び出されて、社長室へ向かった。
二回リズム良くトントンと社長室の扉を叩き、「入れ」の後に扉を開ける。
「話とは何でしょう?」と、私が話を切り出した。
「これは絶対に誰にも話すなよ」と、重々しい雰囲気で社長が言った。
「分かりました」
「実はな、後・・・」と、ここで社長はちらりと時計を見た。そして2,3秒経った後に、社長が早口で言った。
「20秒で地球は隕石と衝突し滅亡する」
しばしの沈黙(と、言っても5秒ぐらいだ)が社長室に流れた。
私が理解するのに、それくらいの時間がかからざるを得なかったのだ。
確かに、3分前あたりからゴゴゴと言う音が響いている。しかし、私には信じられなかった。
社長室の椅子の背景にある大きな窓に駆け寄り上を見ると、すでにとてつもなくでかい隕石のようなものが近づいていた。
急速にその隕石が大きくなって見えることから、その速度がどれくらいなのか分かる。
「あと10秒だ」
社長が言った。確かに、この隕石は後10秒で地上に着くような速度だった。
聞きたい事はいろいろとあった。なぜこんな今更になって言うのか?
なんでこんな小企業の社長が地球滅亡のことを知っているのか?
それにもかかわらず、なぜ国民の耳に入ってこなかったのか?
しかし、そんな事を聞いている余裕は無さそうだ。
なら、この事実を教えてくれた社長に一つだけ。聞いておこう。
「社長!一ついいですか?」
「なんだ」
一息つき、私は最期の言葉を言った。
「僕に・・・どうしろと」
こうして、西暦5XXX年、地球という青い星は、宇宙から姿を消した。
多分初めましてでしょう。タカアキ(元タケノコとまと)です。
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