シスコで頑掘れ
イ軍野手で唯一のスター西崎が、球団の度重なる慰留をあっさり振り切って、海外FA宣言。ほどなくして、サンフランシスコ・ジャイアンツに入団と相成った。
散々慰留して袖にされたイ軍GM柳澤であるが、西崎が自分好みのイケメンであるからか、最後には敏腕と評判の通訳をつけて、快く送り出したものである。
さて、西崎の入団会見である。
彼の地ではGM、球団社長、地元マスゴミ等が勢揃いし、全面的な歓迎ムード。会見は、和やかな雰囲気で進んでいった。
開始早々、西崎がジャイアンツへの印象を問われ、
「映画にもなってますし、GMがカッコいいんすよね」
と、回答。
会見場は爆笑に包まれた。
予想外の反応に、「?」マークを顔に浮かべてニコニコするしかない西崎。
実は、通訳が気を利かせて、
「GMがセクシー&クール」
と訳してしまい、すっとぼけた――というより、ゲイの本場シスコにすふさわしい、ちょっとゲイゲイしい回答に、大ウケとなった次第なのであった。
この会見で、西崎の運命は決定的になった。
東洋人ながら掘りの深いイケメン顔で、しかもしょっぱなの入団会見でGMに色目を使うリアルゲイ――。
シスコのゲイというゲイに、尻穴を付け狙われる事態に陥ってしまったのである。
通訳の誤訳はこうなる事を読んだ意図的なもので、全て柳澤の策略であった。イ軍を袖にした西崎に、柳澤は最大限の意趣返しをやってのけたのである…。




