【イ軍編384】ゲーム化取扱い危険球団
巷で大人気のプロ野球経営系シミュレーションゲームの新作が、満を持して発売。久々の続編登場にオタ大歓喜だったのであるが、その後、致命的なバグが発覚し、秒速でクレームが殺到。メーカーが社運を賭けて大金を突っ込んだだけあってゲーム自体の出来は良かったのだが、前述のバグ修正と付随するクレーム対応で、会社が一気に傾く事態となったのであった。
「いやー、全く大変な事になっちまったな。誰かチェックする奴はいなかったのか」
「それが、当初の仕様では問題無かったんですが、今回のプロジェクトリーダーは開発力は凄いんですがあまり野球に詳しくない人でして。『これクリアできないのはおかしいだろ!』って鶴の一声で、発売直前に勝手に直しを入れちゃったみたいです」
「ちょっとでも野球詳しい奴だったら、クリア出来る方がおかしいってのが共通認識だからな…。バグ修正版やら何やらの費用で俺らのボーナスもカット不可避だろうし、顔面ブルーレイになっちまうよ」
こうして間も無く、バグ――――「球界の掃き溜め」こと5年連続99敗の偉業を成し遂げた球史に残る最弱球団イ軍が、やりようによっては優勝出来てしまう――――を修正した完全版が、購買者全員に無償配布されたのであった。




