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【イ軍編375】相手が優勝しそうになったら本気出す
ペナントレースも押し詰まった9月下旬、関西を本拠とするサ軍がいよいよ優勝マジック1。「球界の掃き溜め」イ軍を迎えたホーム戦で、優勝決定戦の運びとなったものである。
この大一番を前に、イ軍ナインが大奮起。「目の前での優勝絶対阻止」と思ったか思わないか、サ軍選手のビデオ、選手名鑑等で超研究。今までに無い真剣さで関西に乗り込んだのであった。
試合はイ軍のエース相原が好投したものの、球場に押し寄せたファンまで含めたサ軍の勢いが圧倒的で、1-0でサ軍勝利。10年ぶりの優勝で湧く球場を、敗戦イ軍ナインは特に悔しそうな様子ではなかったものの、「俺達の戦いはこれからだ」という捨て台詞を残して、風のように去っていったのである。
「何せ10年ぶりのサ軍優勝だからな、このチャンスは絶対に逃せねえぞ!」
「うむ、関西のファンは勝てばノリがいいからな。奴らの奢り態勢で、高い酒をタダで呑みまくれる絶好の機会だ」
「ここ数日の猛勉強で、サ軍選手の癖はバッチリ把握済だぜ。完璧に成り済まして、せいぜいいい思いをしてやるさ」




