【イ軍編371】絶対に死なせてはならないOBがそこにいる
かつて、「球界の掃き溜め」最弱イ軍の前身球団で4番に座り、一世を風靡した強打者田川。通算350本塁打を記録するなど球史に残る選手であったが、いかんせんダーティーなプレーとあくど過ぎる人格が災いし、球界内外から疎まれまくっていたものである。
特に後輩であるイ軍ナインに対して「俺達の頃は」から始まるウザさ全開かつ嫌味な言動で定評があり、頼まれてもいないのにキャンプや球場に現れては一貫性皆無な指導をして若手の打撃をぶっ壊すなど、ほとんど天敵と言ってもよい程の存在であった。
そんな田川も長年に渡る不摂生が祟ったか、健康状態が著しく悪化。家族はとうの昔にFA流出している上に、現役時代の金銭感覚が60になった今も抜けぬ影響で借金漬けとあって、いよいよ危険な状況に陥っていたのである――――が、そこに救いの手を差し伸べる者がいた。こういった慈善的行為から最も縁遠いと見られたサイボーグ守銭奴ビッチ、イ軍GM柳澤である。
「田川の奴、本当に嫌な野郎だけど、シーズン開始直後のこのタイミングで逝かれるのだけは絶対阻止。もしもの事があったら『今年は田川の呪いのせいって言っときゃいくらでも負けられるぞ』つって、ウチの選手が例年以上にグダグダになるのは目に見えてるからね」




