【イ軍編368】チームの浮沈を握ってしまった3億のリアルメジャー
最弱イ軍が大枚3億をはたいて獲得したメジャー300発大砲の新外人、強打の2塁手アームブリスター。しかし、キャンプからオープン戦を通じて、走攻守どう贔屓目に見ても2A級のプレー振りだった事から球団が調査をしたところ、何と同姓同名なだけで全くの別人という笑撃の事実が判明。
それでも体面の問題から、「悪徳代理人にまんまと騙されました(てへぺろ)!」と世間様に向かって公表出来る筈もなく、「彼はあくまで本物」と言い張って起用し続けるしかない泥沼にハマり込んだイ軍であったが、大きな問題が発生したものである。
このアームブリスター、プレーが2A級ならメンタルはリトルリーグ級で、競った展開になると、かなりの高確率で守備でやらかしてしまうのであった。2塁で守備固めが出来る選手(と言ってもイ軍なのでたかが知れているが)を3億の獲得資金に充てる為にほぼ全解雇してしまっているだけに、本人をどうにかする事が急務となっていたのである。
そこでイ軍は、急遽、霊能者兼野球選手の宣保愛甲のツテで、某著名な催眠術師を招聘。金と女とギャンブル以外については素直な心を持ったアームブリスターに、勝負所で「今は試合が始まったばっかだよ。守りで攻めても大丈夫!」と強い催眠を掛ける事で乗り切ろうとしたのであった。
そして、アームブリスター催眠支援態勢初日。「北(朝鮮)の火薬庫」チョ・マテヨが珍しく力投し、6-5のリードながらも5回1死1、3塁の大ピンチの局面。タイムを取って催眠を掛けられたアームブリスターが、「ヴォウ!!!!」と雄叫びを上げながら、2塁へダッシュしたものである。
「これなら大丈夫そうですね」
「うむ。今度こそしっかり守ってくれるだろう」
しかし、イ軍首脳陣の希望は儚く散った。
気が大きくなったアームブリスターは、本来の能力からすると出来もしないファインプレーをしようとして、何でもない二ゴロを無駄な動きでお手玉しまくった挙句に本塁へ大暴投。結果、逆転を許した上に、「まだ初回だからへーきへーき」と大声でやったもんだからたまらない。激おこと化したマテヨが2塁に突進してチーム内乱闘が勃発。余波で守備の要である遊撃草加部が負傷退場の憂き目に遭う(そしてむしろ怪我していなくなった方がマシなレベルのアームブリスターとマテヨは全然元気)という、素直に3億をドブに捨てたと思ってアームブリスターを解雇していた方が余程マシという、大惨事を引き起こしてしまったのであった。




