【城戸編217】ある意味絶対に打てる最強アドバイス
エース対決となったサ軍-イ軍戦。
イ軍エース相原が失策絡みで1失点した以外は両チーム0行進が続き、いよいよ9回裏にイ軍の攻撃を残すのみとなった。イ軍打線は1番からの好打順であったが、サ軍は左のスーパークローザー矢井田を投入。僅か2球でイ軍の1番リバース、2番諸橋を打ち取り、あと一人で試合終了の場面となったのである。
ここで打席に向かう3番長森を呼び寄せたのは、4番に入った城戸である。何事かアドバイスを耳打ち。その効果は覿面で、22打者連続アウト中だった矢井田から、長森がライトに引っ張る痛烈なシングルヒットを放ったのであった。
打率2割を切る絶不調の長森がまさか打つまいと思っていた観客がは大きくどよめく中、長森は一塁コーチと勝利のグータッチ。
「おい長森、やったじゃないか。城戸のアドバイスもたまには効くんだな」
「ええ、今のはマジで城戸さんのお陰ですよ。ストレートかスライダーか、ネクスト(バッターサークル)からだと矢井田の癖が分かるらしく、大声で叫んでくれるってんです。で、『スライダー!』って声が聴こえたんでストレートを待ったらドンピシャリでした。城戸さんは矢井田が超苦手で打率を下げたくない筈だから、俺で試合終了にして自分に打席が廻らないように、絶対嘘つくと思ってましたからね」
「うむ、確かにこっちを見てファッキューポーズしてやがるな」




