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お笑い野球イディオッツ!  作者: 山岡4郎
おいでよ最弱の闇
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【城戸編212】最終秘密兵器が起こした悲劇

 今年のオールスター第一戦、セリーグベンチには動揺が広がっていた。

 パリーグの先発、ド軍エース「奪三振マシン」こと松崎が、オールスターならではの一発狙いの打撃を繰り返すセリーグ打線と真っ向勝負し、9連続三振をマークしたのである。当然、新記録である10連続達成の為に松崎は4回も続投の動き。不名誉な記録は何としても免れたいと、セリーグ側は軽いパニック状態に陥ったのである。

 だがしかし、そんな中で、セリーグを率いるバ軍監督岡嶋は落ち着いていた。

(フッ、こんな事もあろうかと、こういった場面で躊躇いなくセーフティバントを繰り出せるアイアンハートの秘密兵器を用意してあるのだよ!)

 そう、岡嶋は非常事態に備えて、「ダーティ・ハリー(モト。首位打者獲得の為にセーフティバント連打も辞さない張本を更にダーティにした存在という事でついた渾名)」「フォア・ザ・ミーの権化」「40億の不良債権」ことイ軍の主砲城戸を、監督推薦で選んでおいたのである。

 そして、満を持して繰り出される「代打城戸」コール。これで松崎の記録も打ち止めやねん! と邪悪なドヤ顔を浮かべた岡嶋であったが、悲劇はすぐそこにまで迫っていたのである。

 何と、頼みの城戸が何かを察知したものか、セリーグが9連続喰った回の守りのイニングで、「ブルペンで目慣らしをしてくる」として、当たり屋行為を敢行。スローボールに特攻して演技200%の痛がりようで病院に直行するという荒業をカマし、代打城戸コールの時には既に球場から逃走した後だったのである。

 この事態に激しく動揺したセリーグ打線は、あっさりと松崎に10連続奪三振の日本新記録を献上。岡嶋の卑怯な策略は、それ以上に卑怯な城戸によって、凄まじいブーメランボールとなって返ってきたのであった。

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