【城戸編196】頭脳的挑発の結果
4月のバ軍-イ軍戦。
エース対決となったこの試合、8回まで0-0と緊迫した投手戦となっていたのであるが、「打率乞食」ことイ軍の4番城戸が、守備位置から戻る際に一塁線に付けた微妙な窪みに打球を転がすインチキ内野安打で出塁。無死一塁となり、一気に緊迫した空気となったものである。
更に、鈍足で知られる城戸が、盛んに盗塁する素振りを見せて挑発。どうせ仮に盗塁を仕掛けたとしても、球界一、二を争う鈍足だけに、まず刺せると思われたが、なまじ牽制でも刺せそうな大きなリードを取ったのが城戸の厭らしさである。バ軍エース菊地原の怒りを誘い、執拗な牽制を発生させ、集中力を削ぐ事に成功。次打者アームブリスターへの投球が甘くなり、見事センターへの安打を呼び込んだのであった。
かに見えた。
城戸の汚い頭脳プレーは確かに成功した――そして、失敗もしたのである。
恒例のエア自主トレ&手抜きキャンプで全く出来上がっていない体に、10数回の偽装リードはあまりにも酷だったのだ。足を負傷してしまい、強歩レベルの速度で二塁を目指した結果、センターからの返球で余裕のアウト。こうして、世にも珍しいセンターゴロが成立してしまうという、とんでもない独り相撲オチがついたのであった…。




