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【チョ・マテヨ編⑳】マテヨボール
しまった!
と思った時にはもう遅い。
0-3から投じられた「北の火薬庫」「魔球テポドン」ことイ軍先発北朝鮮系ベネズエラ人チョ・マテヨの際どいコースの直球を、球審多野はボールと判定してしまった。
「おいおいおいおい! 今の判定は何だコラ!」
と、物凄い勢いでマウンドを駆け降り多野に詰め寄るマテヨ。多野自身、やっちまった感があるだけに、ひとしきりマテヨに言われるがままとなっていたものである。
そこで、イ軍のショカフトンタード(ショート+セカンド+レフト+センター+サード)草加部が助け船を出したのであった。
「マテヨ、あれは誰がやってもボールと判定しちまうよ。俺もお前が投げる試合を何度も守ってるけど、3ボールからストライクが入った事が一回も無いんだもの。むしろ3ボールになった時点でフォアボールを宣告されなかっただけよかったんじゃないか」




