指名打者拒否の真相
42歳と高齢ながら、メジャーで指名打者として3年連続20本塁打をマークした強打者オナリー。
タイトル獲得歴もある大物ながら、年齢の問題と、FA市場でナ・リーグの強打者がア・リーグの指名打者の枠を全て埋まってしまう事態が相まって、複数球団が高額オファーを出した日本球界入りを本格検討したものである。
ここ数年指名打者が定位置で、まともに守備に就いていない事からあっさりパ・リーグ入りで決まるものと思われたオナリーの契約であるが、何と、本人は守備に就く事を契約条件として強硬に主張。「俺は本来は守備に就きながら打撃のリズムを作っていくタイプ。守らせてくれりゃあ、お前らの期待以上に打ちまくってやるぜ」として、セ・リーグ球団に候補を絞り込んだのであった。
以下、オナリーと代理人の打ち合せ――。
「どうだ、俺のセ・リーグ入りは大丈夫なんだろ?」
「うむ、あんたのネームバリューもあって、マ軍がこっちの条件を飲みそうだ。元メジャー本塁打王の集客力で、守備に出来る穴については目を瞑るつもりだろう」
「よーしよし、あとは打撃の高額インセンティブの設定だけ頼むわ。俺の事前リサーチによると、セ・リーグならサンドバッグ投手陣で有名なイ軍戦というボーナスステージで荒稼ぎ出来るらしいからな。守備の負担を差し置いてでも稼ぎに行くぜ」




