77/5126
【イ軍ファン編①】ネバーギブアップ
極度の不振で2軍落ちしていたイ軍の主砲城戸が、1軍に舞い戻ってきた。
1軍で4番を打っていた外人選手が右手首骨折、5番に座っていた大田が左膝負傷で入院した為の緊急措置である。
年齢的な衰えから、勝負所以外でのどうでもいい詐欺ヒットすら覚束なくなった城戸に対して、球団側も
「もう駄目だろう」
と思いつつ、最後に一儲けしようと、漫画風にデフォルメされた城戸が「Never GiveUP」と叫んでいるTシャツを企画していたものである。
そして城戸の復帰戦当日。
怪我人続きで他に人がおらず、イ軍監督が断腸の思いで据えざるを得なかった4番の座に返り咲いた城戸を、先述の城戸Tシャツを纏ったファンたちがスタンディングオベーションで迎えた。
「ファ、ファンの皆…!」
思わぬ光景に、眼頭を押さえる城戸。
だがしかし、よくよく目を凝らせば、城戸Tシャツの「Never GiveUP」のNeverの部分が消されており、城戸が「GiveUP」と叫んでいるようにされていた。
ファンの「早く引退してくれ!」という思いの籠った、変則ブーイングなのであった…。




