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【イ軍編268】ヤジ将軍も遠慮する貫録球団
パリーグから「球界の盟主」ことセリーグのバ軍にトレード移籍したユーティリティプレーヤーの島崎。ヤジ将軍としても名高い島崎は、ベンチで相手チームをこき下ろしては味方を盛り上げ、早くもバ軍に溶け込んだものである。
そんなある日の「球界の掃き溜め」ことイ軍戦。ボーク癖、四死球癖、被本塁打癖と突っ込みどころ満載のイ軍爆炎投手陣が相手とあって、島崎も事前のネタの仕込みに余念が無く、初回から凄まじいヤジのを浴びせまくった――――のであるが、意外にも、首脳陣からこれを止められたのであった。
「何ですかい? ウチは『紳士たれ』球団だけに、雑魚には手心を加えなきゃならんと、そういうワケですかい?」
と、不満げな島崎であったが、首脳陣の説明には思わず納得せざるを得ないのであった。
「違う、別にそんなんじゃない。ただ、奴らをヤジると必要以上に効き過ぎて、制球から球威から完全に崩壊しちまって、試合がとんでもなく長引いちまう。どうせ勝てるんだから、試合時間はちょっとでも短い方がいいだろ。皆早く帰りたいんだよ」




