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【古井編⑤】魂の声出し！

　イ軍古井、ベンチからチームに貢献。

　かつてはイ軍不動の４番だった古井だが、故障による長期離脱中に、長森、赤田ら次世代の強打者が台頭。復帰する頃にはポジションは完全に奪われており、また、ここ数年の技術的なスランプも相まって、一軍では居場所がベンチにしかない状態になっていた。

　そんな、プロ生活の黄昏時に陥った古井ではあったものの、殊勝にもベンチ内で声出し要員に徹し、毎試合、チームメイトを鼓舞しているのであった。

「あの自分勝手さに定評のある古井さんが何故…」

　と、周囲は訝しがったが、イ軍に美談あるところ必ずオチがある。

　古井の声援は、よくよく聞いてみると個人名＋意味不明なフレーズが並んだものなのだが、何とこれは古井が最近ハマった新興宗教のお題目である事が判明したのだ。

　何の事は無い、応援なんぞではなく、自分のポジションを奪った若手が打てなくなるよう、呪いの言葉を延々怒鳴り続けていただけなのであった。