【マウンドの詐欺師 神崎編④】統一球問題を語る
――神崎選手は今年に入ってからのボールの違いを断言していた。
「そりゃそうだ。俺ほどのプロになりゃあ、一回握っただけですぐ分かる。指のかかり方が明らかに違う。何? 分からない? 野球記者がそれじゃまずいねえ。あんたが持ってきてくれた去年の球と今年の球、ほら、全然違うだろ」
(ボール検証が20分程続いたが、あまりにもマニアック過ぎる内容で、記者側としては違いが全く分からずでした)
――今回の事件についてはどう思うか。
「コミッショナー、やるなあと(藁)。俺も(不正投球疑惑…あくまでも。確証が取られた事は一度も無い)散々ネタにされてるが、スケールが違いすぎるわな。俺はよく『球界の詐欺師』なんて言われるが、『球界が詐欺師』だったとは…。一本取られたな(藁)」
――今後はどのような対応を望むか。
「一投手の立場からすりゃあ、とっとと飛ばないボールに戻して欲しいね(藁)。あと、『球界の詐欺師』としては(藁)、コミッショナーは貫き通すべきだったと思うね。何を?ってのは判断任せるけどさ(藁)。そうすりゃ俺もやり易かったんだけどな(藁)。まあでもアレだ、さすがにしばらくは大人しくしてるかね」
そう言って、神崎はニヤニヤ笑いながら検証用のボールをこちらに返して去って行った。
改めてボールを見ると、コミッショナー名が刻印されている筈の場所に、神崎の名前が刻印されていた。いつの間にか、ボールがすり替えられていたのであった。今シーズンの『球界の詐欺師』の怪進撃は、まだまだ続きそうである…。




