【イ軍編192】たった一人で最弱イ軍を変えた男
「優勝請負人」の異名を持ち、行く先々の球団を優勝に導いたパリーグのカリスマ的大打者宇和島。そんな彼が、球界への最後のご奉公先として選んだのは、プロ野球史上でも屈指の弱小球団である、東京新宿イディオッツであった。
宇和島は入団会見で、
「イ軍は俺が変える。なーに、今の状態からなら上がるだけで下がりようがないんだから、他のチームの時に比べりゃあ、気楽なもんですよ」
と、自信満々のコメントを残し、尚且つ有言実行。そのカリスマ性とリーダーシップで有望な若手を中心に早くも宇和島軍団を結成し、大規模自主トレを敢行。自らも43歳ながら軍隊並みのハードトレーニングを実行し、背中で手本を見せたのであった。
だがしかし、イ軍の惨状は完全に宇和島の想定以上だったのである。
もともとの素材が悪く(まともな新人は環境&条件の悪いイ軍入団を回避)基礎体力が全く無いイ軍若手陣が宇和島に洗脳…いや、影響された事で激しい練習を無理してこなした結果、キャンプ前の時点で大量の故障者が発生。こうして「40億の凡打製造機」こと4番城戸を始めとする、エア自主トレ&手抜きキャンプでグダグダのベテラン陣でフルシーズン乗り切らざるを得なくなってしまい、シーズン開始前から万事休す。当の宇和島自身も、相次ぐ大型連敗による開幕逆スタートダッシュで4月に優勝の可能性が消えるというイ軍特有の状況に精神的についていけず、モチベーションを失いほぼ全く戦力にならず。
こうして宇和島は、たった一人で「もうこれ以上落ちる事は無いだろう」と言われたイ軍を更なる二番底に落とすという離れ業をやってのけたのであった。




