【イ軍編190】エンドレスサマー
真夏のデイゲーム、サ軍―イ軍戦。
イ軍先発キャッチャーは第二捕手の赤田、球審も赤田――イ軍赤田の歳の離れた兄――であった。
実の兄が敵チームの球審という事態に、「判定で問題が発生するのではないか」としてサ軍首脳陣は審判部に猛抗議。しかしながら、
「今までは親類がいるからってんで赤田はイ軍戦から外してたんだが、たまたま他の審判の病欠が重なっちまってなあ。申し訳ないがこっちの事情も察してくれや。それに赤田は超真面目だから、まず変な判定はしないよ。そこは保証してもいい」
と、言われてしまっては、サ軍首脳陣も返す言葉が無く、予想される厳しい状況を受け入れるしかなかったのであった。
そして試合が開始され、サ軍首脳陣の危惧は完全に的中。
ただでさえ魔制球なイ軍投手陣が酷暑の影響でグダって全くストライクが入らない状況で、弟所属チームへの八百長判定を疑われる事を恐れた赤田兄が、必要以上に厳しい判定を連発。熱中症回避の為、他の審判なら多少クサい球をストライクに取って早く試合を終わらせる努力をする場面であったが、赤田兄が大真面目に判定をし続けてしまい万事休す。
結果として試合時間がとんでもなく長くなり、炎天下のブルペンで待機せざるを得なかったサ軍リリーフ陣は体力を大幅に消耗、更にはサ軍一塁コーチ、三塁コーチが疲労&熱中症で病院送りとなったのであった…。




