【イ軍編180】残業、ダメゼッタイ
「弱いチームを強くする事にも興味はあります」
と、FA宣言会見で言い切ったのは、パリーグのエ軍でレギュラー三塁手を張る好打者の今井。毎年安定して2割8分20本塁打前後を叩き出す上に守備もまずまず、そして何より男気がありリーダーシップに優れる選手として、関係者の間でも評価の高い選手であった。
長打力、守備力、リーダーシップと、チームに欠けている物全てを兼ね備えている今井は、「球界の掃き溜め」こと最弱イ軍としては何としても欲しい選手。ぶっちゃけタンパリング紛いの激しい札束攻勢への一次回答が、冒頭の一言なのであった。
これには例年まともなFA選手には黙殺され通しだったイ軍首脳陣も狂喜乱舞、強豪バ軍とのマッチレースとなった獲得戦線に血道を上げまくるのであった。
だがしかし、最終的には「家族との時間を優先したいから」との理由で、今井は条件にやや劣っていたバ軍入りを決意。散々期待させられた挙句フラれたイ軍関係者及びファンは激おこの上に激おこ、総年俸枠圧迫を免れたイ軍ナインは胸を撫で下ろしたのであった。
後年、この時のFAの顛末について、今井は次のように語ったものである。
「ぶっちゃけ5年総額15億でイ軍の方が全然条件は良かった。ただ、調べたら投手が毎試合打たれまくりで、試合時間が異様に長かったんですよ。丁度子供が産まれたばっかりで、帰宅時間が毎日遅くなるのもアレだなと思ってバ軍にしときました」




