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【イ軍編155】実際に目で見て獲得するスカウトの鑑
米マイナーリーグ3Aの某試合。
ある若い選手の登場時、一拍のち、球場には大爆笑が響いたものである。
しかしこの背番号22の選手は、他の連中とはモノが違った。馬鹿にされたような笑いを浴びながらも、打っては3打数3二塁打、守っては快足を飛ばして美技連発と、次元の違うプレーを披露。程なくやんやの大喝采を浴びたのであった。
試合後、背番号22と監督の会話――。
「全く、10万ドルのお小遣いであんだけ笑われちゃ割に合わねえよ」
「まあそう言うなって。お前のお陰で無事に契約は出来たんだ。助かったぜ」
「それにしても、俺が本物の背番号22とは別人のメジャーリーガーで、ユニフォーム間違ってんじゃねえよと球場から総ツッコミ喰らってたのに、マジで全然気付いてないのな」
「ああ、連中、英語はまるで分かってねえし、情報源もウィキペディアメインみたいだしなあ。箸にも棒にもかからない本物の背番号22を100万ドルで選手契約譲渡成立して、喜んで帰ってったよ」
こうしてイ軍海外スカウトが一杯喰わされた事で、またしても不良債権の新外人が加入したのであった…。




